あるくみるきく_瀬戸内シーカヤック日記

瀬戸内を中心とした、『旅するシーカヤック』の記録

瀬戸内シーカヤック日記: かつては”お気に入りの島”であった『生野島』郷愁キャンプツーリング

2012年05月20日 | 旅するシーカヤック
2012年5月19日(土) 朝5時過ぎ。 いつものように、『さて、この週末はどこへ行こうかな?』

この土日は、高気圧に覆われて穏やかな天気の予報。 『ふむふむ、そうか。 久し振りに、生野島へ行ってみようか!』
最近多かったベースキャンプ方式でのツーリングと異なり、片道1時間弱のお気楽ツーリングとは言え、島に渡ってのキャンプとなると、それなりに慎重な判断をしなければならない。

今週末は大丈夫そうだ! 『今日は、生野島でキャンプしてくるけん』 『はい、気をつけて』

***

家から1時間ほどで、出艇地の浜に到着。

風もなく、穏やかな瀬戸内海。

空は青く、絶好のキャンプツーリング日和である。

今日は島に渡ってのキャンプツーリングという事で、久し振りにニヤックを引っ張り出してきた。 イザという時に頼りになる信頼性は、やはりニヤックのものである。

バウとスターンのハッチにキャンプ道具を詰め込み、島に向かって漕ぎ出した。 『行ってきます』

フェザークラフトK-1を使った、尺取り虫方式での瀬戸内横断の第一回目の初日に地元呉の海水浴場を漕ぎ出し、初めてキャンプ泊したのが生野島であった。 それから年に何度もキャンプツーリングに通うようになり、一番の”お気に入り”の島となった生野島。

距離も適度で景色が良く、海も綺麗で、海水浴シーズンを除けば最高のシーカヤックツーリングエリア。

最近は少し足が遠ざかっていたが、今回はどんなスローライフが楽しめるだろうか。

楽しみだ。


順調に漕ぎ進み、1時間弱で生野島に到着した。


シーカヤックを引き揚げ、荷物を運ぶと。。。 ??? *** !!!

『なんじゃこりゃー。 うそやろ』

なんと、お気に入りの東屋は立ち入り禁止。

この何もない生野島の、最高の観光資源はこの東屋であると、これまで信じて疑わなかったのだが、その東屋が立ち入り禁止。
一瞬言葉を失い、荷物をカヤックにパッキングし直して出艇地に戻ろうかとさえ思ったのが正直な気持ちである。 とはいえ、『旅する櫂伝馬プロジェクト』でお世話になっている大好きな町が立ち入るなというのなら、残念ではあるが、それはそれで受け入れよう。

シーカヤックで瀬戸内の島々の定点観測を始めてから20年。
静かな自然海岸が気に入っていたエリアのすぐ上に道路が設置されたり、フェリーでしか渡れなかった島に橋が架かって島の雰囲気が変わったり、地元の貴重な足であった定期船やフェリーの航路が廃止になったり、お気に入りだった店が閉店したり、キャンプが楽しめたビーチにイノシシの足跡が観られるようになってキャンプできなくなったりと、様々な変化を自分の眼で観てきた。
それでも私は全ての変化を受け入れ、その変化をブログに記録し、場合によってはそのエリアを漕がなくなったり、新たなエリアを開拓したりしつつ、常に自分が置かれた状況や変化の中で如何に楽しむかを工夫してきたつもりである。

それにしても、今回の状況変化は寂しい限り。
今後、私が生野島について語る時は、『かつてはお気に入りの島だった”生野島”』というしかないのが、本当に残念でならない。 『嗚呼!』



***

少し遅めのお昼ご飯は、パスタの代わりにうどんを使った『なんちゃってパスタ風_蟹のトマトクリームソース』
うどんを使うと、気分は、小学校の時に大好きだった給食の『ソフト麺スパゲティ』である。

ビールを飲み、うどんパスタを食べる。

食後は、久し振りに竿を出す。 釣れるのは、『ササノハベラ』ばかりだが、なかなか良い大きさのものもあり、夕食のつまみにはピッタリだ。

夕方、釣った魚をオピネルで捌く。 俺のオピネルは、炭素鋼バージョン。 海旅で使っているので錆びるのが難点だが、研げばその切れ味は最高である。
コンパクトでもあり、切れ味も握った感触も気に入っているので、キャンプの調理には愛用している。
今日のササノハベラは、キャンプの定番魚料理である『オリーブオイルとクレージーソルトのソテー』に。

エビスビールを飲みながら、ベラのオリーブオイル焼きを食す。 『うん、美味い』

もう一品は、『ウインナーとタマネギのトマトソース風』 これまたコクのある味で『旨い!』


夕暮れの瀬戸内の景色を眺めながら、ビールを飲み、かつての生野島を想う。





『おやすみなさい』

***

2012年5月20日(日) 離島のキャンプで、朝テントで目覚めると、まず気になるのが風。 シュラフに包まりながら耳を澄ますが、風の音は聞こえない。
『うん、今日は穏やかな朝だ』

朝5時過ぎ、テントから這い出し、お湯を沸かしてコーヒーを淹れる。

『うん、良い朝だ。 気持ち好いなあ』


シュラフを片付け、テントを畳み、再びお湯を沸かしてスープとパンの朝ご飯。


食後のコーヒーを楽しむと、荷物を片付けて、ニヤックにパッキング。

お気に入りだった東屋が使えなかったのは、本当に残念だけど、今回もなかなか良いキャンプツーリングだったなあ。


朝7時過ぎに生野島を出発。

穏やかな朝の瀬戸内を漕ぎ戻る。


***

かつてはお気に入りだった『生野島』
変わってしまったけれど、長年キャンプツーリングではお世話になった。 お気に入りではなくなってしまったけれど、また気が向いたら遊びにくるよ!
『今まで楽しませてくれて、ほんとうにありがとう』

一度は愛した生野島。 冷たくされてもすぐには嫌いにはなれないな。 残念ながら東屋からの最高の景色は、今ではかなわぬ想い出になってしまったけれど、俺は、あの頃の生野島を、いつまでも忘れない。
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