政治を支える精神を、政治家、国民、政党の軸から読み解く 第20回 最終回
第4章 政党政治の精神 (4)
自民党は利益配分政治(インナーとインサイダーの結合)の「包括政党」というぬくもりのなかで、党内に膨大な政策作り集団を持つ政党であった。政調会のもと百におよぶ部会や委員会をもち、これらに属する議員が官僚たちと財界と結んで「鉄のトライアングル」を構築してきた。官僚は政治家同志の意見の対立さえ調整するという政治主導より官僚主導という状況を作ってきた。党と政府は法案事前審査制という関係で、党が承認しない法案(そして事務次官会議が承認しない法案)「は閣議に上げないという習慣をつくった。議院内閣制ではなく、政治家と官僚の協同統治であった。大臣と内閣の無力化、政治が行政機構に飲み込まれる政策のタテ割り処理は、政治統合力の弱体化に繋がった。もはや政策の仕組みは国民から見えない裏で処理されてきたのである。政策が国民の納得を得られないのが当然であった。1990年代の金融ビックバンによる危機では日本型護送船団方式は通用しえなくない、大蔵省は解体された。そして新自由主義の市場原理は政官財の癒着的構造を破壊したのである。ここにはでな小泉式パフォーマンスやポピュリズムが政治の舞台で横行した。
北川三重県知事が唱導した「マニフェスト」運動が政党政治改革の一つのツールになりつつある。地方自治は首長と議会という二元代表制をとっているが、国政は議院内閣制でという一元代表性なのでマニフェストは大きな影響を持つ。マニフェストは「政権公約」で国民との契約文書(個人の選挙公約よりも次元が高い)である。政権公約である以上、不測の事態でも、「一寸先は闇」の政治の世界でも拘束力が高いのである。選挙に勝った政党は政権内閣を構成し、マニフェストを閣議で承認して、その実施と政策革新を目指して官僚はその実施部隊となる。
完
第4章 政党政治の精神 (4)
自民党は利益配分政治(インナーとインサイダーの結合)の「包括政党」というぬくもりのなかで、党内に膨大な政策作り集団を持つ政党であった。政調会のもと百におよぶ部会や委員会をもち、これらに属する議員が官僚たちと財界と結んで「鉄のトライアングル」を構築してきた。官僚は政治家同志の意見の対立さえ調整するという政治主導より官僚主導という状況を作ってきた。党と政府は法案事前審査制という関係で、党が承認しない法案(そして事務次官会議が承認しない法案)「は閣議に上げないという習慣をつくった。議院内閣制ではなく、政治家と官僚の協同統治であった。大臣と内閣の無力化、政治が行政機構に飲み込まれる政策のタテ割り処理は、政治統合力の弱体化に繋がった。もはや政策の仕組みは国民から見えない裏で処理されてきたのである。政策が国民の納得を得られないのが当然であった。1990年代の金融ビックバンによる危機では日本型護送船団方式は通用しえなくない、大蔵省は解体された。そして新自由主義の市場原理は政官財の癒着的構造を破壊したのである。ここにはでな小泉式パフォーマンスやポピュリズムが政治の舞台で横行した。
北川三重県知事が唱導した「マニフェスト」運動が政党政治改革の一つのツールになりつつある。地方自治は首長と議会という二元代表制をとっているが、国政は議院内閣制でという一元代表性なのでマニフェストは大きな影響を持つ。マニフェストは「政権公約」で国民との契約文書(個人の選挙公約よりも次元が高い)である。政権公約である以上、不測の事態でも、「一寸先は闇」の政治の世界でも拘束力が高いのである。選挙に勝った政党は政権内閣を構成し、マニフェストを閣議で承認して、その実施と政策革新を目指して官僚はその実施部隊となる。