tyakoの茶の湯往来

日常生活の中から茶道の事を中心に、花の事、旅の事、そして、本や写真の事など、気ままに書いて見ようと思ってます。

謡曲「竹生島」と禅語

2011-09-28 18:46:25 | 茶の湯
今日も静かな過ごしやすい一日でした。

今週のお軸は「玉兎清波遊」です。
このお軸の語句は、謡曲「竹生島」の一節を元に揮毫されたものです。


正眼寺 谷耕月老師筆

琵琶湖に浮かぶ竹生島は、宮島、江ノ島などと共に、七福神のうちの弁財天を祭っております。この竹生島を舞台として、謡曲「竹生島」があります。

物語の内容を簡単に記して見ます。
延喜帝(醍醐天皇)にお仕えする朝臣が、竹生島の弁才天の社に詣でようと従者を連れて琵琶湖にやって来ます。
丁度、折り良く湖畔で出会った老いた漁師と若い女の釣り舟が近づいて来たので、便乗を頼んだところ快く乗せてくれたのです。
一行はのどかな春のうららかな景色を眺めながら竹生島に向う。

竹生島へ着き、老人は朝臣一行を神殿に案内します。すると、連れの若い女も一緒に付いて来るので、朝臣は老人に「竹生島は女人禁制のはずなのに」、と問いかけます。すると二人は、弁才天は女神であるから、女性をお隔てにはならないと言い、竹生島明神の故事来歴を朝臣に語り聞かせます。
その後若い女は、自分は人間ではないと明かして社殿に入り、老人は湖の主であると告げ、波間へ消えて行くという物語です。
この謡曲「竹生島」の中で最も知られているのが次の一節です。 

「緑樹影沈んで、魚木に上る気色あり。 月海上に浮かんでは、兎も波を弄るか。」

(島の緑樹の影が湖面に映じて、それは、まるで魚が木に登る様に見えるし、空に浮かぶ月も、湖水に映じるので、まるで月の兔が波の上を飛び跳ねながら渡っているようだ。)こんな意味でしょうか。

ちなみに、家紋や焼き物の図柄で親しまれる日本の伝統的文様「波兎」は、「竹生島文様」という名を持っている。湖面に映る月、その周りに兎が湖上を奔る謡曲『竹生島』に由来するのだと云われております。


「竹生島文様」といわれる文様の布


布で作った袋

私はこの文様が好きで、カメラ用・ビデオ用・ペットボトル用といった色んな物に「波兎」の袋を使っております。





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