アリの一言 

天皇制、朝鮮半島、沖縄の現実と歴史などから、
  人権・平和・民主主義・生き方を考える。
   

沖縄・玉城県政半年―いま必要な「翁長県政」の検証

2019年04月06日 | 沖縄・平和・基地

     

 安倍政権は5日、沖縄県が行った「辺野古埋め立て承認撤回」を「無効」としました。防衛省の要求を国交省が認めるというまったくの茶番です。
 埋め立て工事強行はじめ安倍政権の沖縄に対する強権姿勢は、翁長雄志県政時代から始まり今日へ軌道が敷かれてきました。その翁長氏の「遺志」を引き継ぐとして「オール沖縄」陣営の玉城デニー氏が知事に就任して4日で半年が経ちました。

 辺野古新基地をめぐる経過を歴史的に記録し、今後のたたかいの教訓を導くためにも、3年8カ月の「翁長県政」とは何だったのかを客観的・科学的に検証することがいま求められています。

 玉城氏との関係でまず明らかにされる必要があるのは、翁長氏が玉城氏を「後継者」に指名したとされる「音声データ」です。この「音声データ」によって玉城氏は知事選に出馬し当選したと言っても過言ではありません。

 ところが、その「音声データ」はいまだに存在自体が明らかになっていません。

 「音声データ」は、昨年8月19日、沖縄タイムス、琉球新報がともに1面トップで報じたことで「突然」(沖縄タイムス)浮上しました。しかしそのニュース源はいずれも、「複数の関係者が明らかにした」(沖縄タイムス)、「関係者によると」(琉球新報)というあいまいなものでした。唯一固有名詞が明らかにされたのは、「音声は17日に新里米吉県議会議長が遺族から受け取った」(8月19日付沖縄タイムス)という新里米吉氏だけです。その新里氏は沈黙を続けたままです。

 翁長氏の「遺言音声データ」は、実在するなら、「後継指名」に限らず歴史的資料価値のあるものです。私的な部分を除き、その内容は公開されるべきです。少なくとも実在することは証明されなければなりません。

 しかし、沖縄タイムスも琉球新報も、その後追跡取材を行っている形跡はありません(少なくとも紙面を見る限り)。これでは県紙の責任を果たしているとは言えないのではないでしょうか。

 「音声データ」だけではありません。翁長氏に対しては「偉大な政治家」という評価が漠然と流布していますが、政治家の評価は実際の言行から客観的・科学的に行われる必要があります。
 ここでは基地問題に限って検証される必要がある項目を挙げます。

 翁長氏が知事選で公約した「辺野古埋め立て承認撤回」を3年8カ月の在任期間中に行わなかった意味と影響

 翁長氏が安倍政権と「対話」するとして行われた「集中協議」(15年8月~9月)の経過と意味

 翁長氏が安倍政権と行った「和解」(16年3月4日)の経過と意味

 翁長氏が「承認取消」を自ら取り消した(16年12月26日)意味

 翁長氏が「辺野古新基地反対」といいながら、工事のボーリング調査容認(15年3月5日)、大型ブロック投入による岩礁破砕黙認(15年11月17日)、陸上工事容認(16年8月31日)、石材搬入のための本部港使用容認(17年11月3日)、土砂投入前のサンゴ移植容認(18年7月13日)などを次々行ってきた意味と影響

 翁長氏が高江のヘリパッド建設を容認した(16年11月28日)経過と意味

 翁長氏が、県公安委員長の任免権をもちながら、辺野古や高江の住民を弾圧する機動隊を規制しなかった(野放しにした)意味

 翁長氏が米軍浦添軍港の県内移転を一貫して容認・推進してきた意味

 翁長氏が泡瀬干潟の埋め立てを一貫して容認・推進してきた意味

 翁長氏が最大の米軍基地である嘉手納基地の縮小・撤去には一言も言及しなかった意味

 翁長氏が与那国、石垣、宮古など離島への自衛隊基地建設・配備強化を一貫して容認してきた意味

 翁長氏が「日米が世界の人権と民主主義を守ろうというのが日米安保条約だ」(17年11月20日)などと一貫して日米安保条約=軍事同盟を擁護・賛美してきた意味と影響

 以上の問題は、翁長県政の回顧にとどまらず、いずれもまさに現在進行形の重要問題です。その点からも、翁長県政の検証は不可欠です。

 





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