アリの一言 

天皇制、朝鮮半島、沖縄の現実と歴史などから、
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天皇「退位・即位儀式」7つの憲法違反

2019年04月29日 | 天皇・天皇制

     

 あす4月30日に明仁天皇の退位儀式、翌5月1日に徳仁新天皇の即位儀式が行われます。メディアはテレビも新聞も特集を組み、天皇賛美一色に染まります。

 明日の「退位礼正殿の儀」(午後5時~5時10分)、明後日の「剣璽等承継の儀」(午前10時30分~40分)、「即位後朝見の儀」(同午前11時10分~20分)―いずれも「国事行為」―は明白な憲法違反です。どこがどうして違憲なのか、改めて整理します。

     そもそも「生前退位」は憲法の想定外です。皇位継承について憲法第2は、「皇位は、世襲のものであって、国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する」と定めています。その皇室典範は第4条で、「天皇が崩じたときは、皇嗣が、直ちに即位する」としています。明仁天皇が自ら意思表示し、安倍首相が実現した「生前退位」自体が憲法・皇室典範違反です。

     「退位礼正殿の儀」の主な目的・内容は、明仁天皇が保有している「三種の神器」(「剣」と「璽(勾玉)」。「鏡」は動かさない)を返還することであり、翌日の「剣璽等承継の儀」はそれを徳仁新天皇に渡す儀式です。
 これは明らかな宗教(皇室神道)儀式であり、それを国事行為として行うことは、憲法第20条の政教分離違反です。

 ③    「退位礼正殿の儀」は、「内閣総理大臣が御前に参進し、国民代表の辞を述べ」、続いて「天皇のおことば」(政府発表の「細目」)という手順です。「国民代表」が天皇を奉祝し、天皇が「国民代表」に言葉を下すという形式で、憲法前文、第1条の「国民主権」違反です。

     「即位後朝見の儀」もまさに、首相が「国民代表」として祝辞を述べ、天皇が「おことば」を下すためのもので、この儀式自体が憲法前文・第1条違反です。
 そもそも「朝見」という言葉は、「臣民」が天皇を拝謁するという意味で、天皇主権の大日本帝国憲法の思想をそのまま残すものです。
 前回(明仁即位)は首相(海部首相)が天皇より低い位置から天皇を見上げる(天皇が見下す)形で行われ、のちに批判が出ました。今回の徳仁天皇と安倍首相の位置関係が注目されます。

     いずれの儀式にも、首相、衆参議長、最高裁長官の「三権の長」、閣僚、地方自治体の代表らが参列します(参列させます)。これは「国会は、国権の最高機関」と規定している憲法第41条に違反し、天皇を「国家」の頂点に置くものです。

     「退位礼正殿の儀」「剣璽等承継の儀」による「三種の神器」の受け渡し(移動)は、「三種の神器」が天皇の証明だとする「践祚」(皇位継承)の思想に基づくものです。これは政教分離の原則に反するだけでなく、「この(天皇の)地位は、主権の存する日本国民の総意に基づく」とする憲法第1条の「象徴天皇制」の原則に違反しています。

 ⑦    「剣璽等承継の儀」に女性皇族は参列できません(女性皇族排除)。これは明らかな女性差別であり、多くの批判がありましたが、安倍政権・宮内庁は押し切りました。
 それは皇位継承を「男系の男子」(皇室典範第1条)に限定し女性を皇位継承から排除していることに根源があります。憲法第11条の「基本的人権の尊重」、第14条の「法の下の平等」の明白な蹂躙です。 

 こうした明々白々な違憲の儀式が、天皇を先頭に、「三権の長」、地方自治体の長を巻き込んで、国費(市民の税金)を使って「国の行事」として公然と行われ、オールメディアがそれを賛美し、「市民」が同調する。まさに異様・異常な光景と言わねばなりません。
 これが天皇制国家・日本の姿です。私たちは「主権者」として、また人権の尊重を希求する人間として、絶対に容認することはできません。

 明日のブログは明後日に回します。


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