アリの一言 

天皇制、朝鮮半島、沖縄の現実と歴史などから、
  人権・平和・民主主義・生き方を考える。
   

日曜日記47・天皇の車に乗れなかった皇后・『82年生まれ、キム・ジヨン』と日本社会

2019年04月21日 | 日記・エッセイ・コラム

☆明仁天皇の車に乗れなかった美智子皇后

  18日伊勢神宮を参拝した明仁天皇、美智子皇后の映像をテレビで見ていて、おや?と思った。ふたりは別々の車で外宮、内宮へ向かい、別々に参拝した。あれほど”おしどり夫婦“ぶりをアピールしている二人が、なぜ?

  答えはすぐ思いついた。今回の参拝は天照大神に「退位報告」をするためのものだからだ。皇后も含め、女性皇族は「皇位継承」から排除されている。女系天皇が認められていないだけでなく、新天皇の即位の儀式(「剣璽等承継の儀」)に臨席できない。今回初めて行われる「退位に関する儀式」からも女性皇族は排除されている、ということだろう。

  あるいは、「退位報告」に限らす、伊勢神宮を参拝するときは天皇と皇后は別に行動することになっているのかもしれない。だとすれば、それは伊勢神宮に祀られているのが女神の天照だからだろう。あるいは、「三種の神器」に女性皇族は同席してはならない、ということになっているのかもしれない。今回、明仁の車には皇后ではなく「剣」と「璽(勾玉」)が同乗していた。そうだとすれば、これも、天照との関係だろう。

  その辺はさらに究明する必要があるが、明らかなことは、天皇制は、「皇位継承」とその儀式を中心に、女性蔑視・差別に貫かれているということだ。今回の伊勢神宮参拝の光景はそのことをあらためて示したといえる。

 ☆『82年生まれ、キム・ジヨン』と日本社会

  『82年生まれ、キム・ジヨン』(チョ・ナムジュ著、斎藤真理子訳、筑摩書房2018年)を読んだ。韓国における女性差別の実態を、1人の女性の誕生から(あるいはその母、祖母の時代から)今に至るまでの人生をたどる形でノンフィクション的に描いたものだが、これはまるで日本社会の「鏡(ミラー)」だ、と思いながら読んだ。

 日本社会にも女性蔑視・差別が蔓延している。日本人には無意識のうちにそれが染みつている。自分も例外ではない。例えば、小さい時から母に「男の子は台所に入るんじゃない」と言われて育った。それが、結婚後の家事分担の絶対的不平等につながったと言えなくはない。

 男が自分の差別性を自覚するためには、差別されている女性の声を傾聴しなければならない。この本は男こそ、日本の男こそ読むべき本だ。

 ところで、韓国と日本には共通点がある。男尊女卑の儒教の影響を強くうけていること、高度に発達した資本主義社会であることなどだ。
 同時に、相違点(それぞれの特色)もある。日本には(今のところ)ないが韓国にはあるもの、それが徴兵制度だ。この兵役制度(軍隊経験)が女性蔑視・差別に影響しないわけがない。
 逆に、韓国にはないが日本にあるものがある。それが今日まで続いている天皇制だ。女性蔑視に貫かれている天皇制が日本社会の女性差別を根底から支えている。

 軍隊(日本には徴兵制はないが自衛隊という世界有数の軍隊がある)も天皇制も、女性差別を一掃するためにも、この社会から無くしていかねばならない。


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