イタリア映画「家の鍵」を観てきました。
あまり内容を書くとネタバレになりますので、純粋に感想だけを書きます。
これは生まれた時に一度見捨てた障害のある息子を、15年後にもう一度親子としての関係を復活させようと決心するまでの若い父親の話です。
正直なところ、私はこの主人公のひとりである父親に共感するところはあまりなかったけれど、リハビリ施設(病院)で重度障害の娘を20年以上も一人で(夫はいるが近づかない)世話をして寄り添っている母親ニコルのすべての言葉に共鳴しました。
わかりすぎるくらいにわかるセリフだったので、いつの間にか感情移入している自分がいました。
ニコルの役はシャーロット・ランプリングがやっていましたが、彼女はきっと役に入る前にいろんな人に会ったり調べたりしているんでしょうね。
諦めと愛おしさ。
それを的確に表情で表していたランプリングだけれど、実はそれって実際の私たち母親の普段他人には見せることのない内側の表情なのです。
他の観客が泣いているシーンと私が涙を浮かべたシーンが違っていたようなのが、非常に面白かったですよ。
これが実際に身に降りかかっている人と世間との違いかもしれない、とね。