角館草履の『実演日記』

〓袖すり合うも多生の縁〓
草履実演での日々の出会いには、互いに何かしらの意味があるのでしょう。さて、今日の出会いは…。

和が恋しいお年頃。

2014年06月20日 | 実演日記




今日の草履は、彩シリーズ23cm土踏まず付き[四阡六百円]
こちらも五月末に届いた新柄の一部です。ベースが優しい紫ですから、組み合わせも紫にしてみました。少し対象年齢が上がる気もしますので、優しいおばあちゃんにお勧めですかね。桜の小花が可愛い平生地がこちらです。



梅雨入りしてから寒暖の差で参っています。暑いと30℃にも達し、寒いと20℃ほどしかありません。今日がその寒い日で、作務衣の上着が離せませんでした。明日はまた27℃まで上がりますから半袖で十分でしょう。座って草履を編むだけの私より、散策されるお客様のほうが参っちゃいますね。

大人の休日倶楽部乗り放題チケットも三日目を迎え、明らかに散策される人影が増えてきました。ご夫婦旅が目につく中で、おばあちゃんのひとり旅がお立ち寄りです。東京に暮らして数十年というおばあちゃんは、元々角館のご出身。このチケットを利用して故郷のお墓参りだそうです。

「今日の草履」をお選びはこちらのおばあちゃんで、『真っ直ぐ駅へ行こうかと思ったんだけど、やっぱり散歩して良かったっ』と角館草履とのご縁を喜んでくださいました。お墓参り直後の出会いですから、ご先祖様のお導きですかね。お墓参りや神社を訪ねた後というのは、どこか清々しさを感じるのが日本人です。おばあちゃんからもそんな「和の心」を感じました。

昨夜とあるお宅で夕食会がありました。こちらの家主さんはプロの料理人で、仕事がお休みの昨日自宅で手料理の振る舞いがあったわけです。和食一筋の彼が造る料理は、五十過ぎのおっさんによく合いましたよ。年齢を重ねるほど「和」が恋しくなる自分に気づきますね。とても美味しくいただきました。









昨日のお昼に近い頃でしたか、知人女性がひとりの女性を私に会わせたいとお連れでした。唐草模様の作務衣姿に身を包んだ女性を一目見て、明らかな「和」を感じましたね。ご紹介いただくと「一杯の味噌汁プロジェクト」を主宰する食育コーディネーターさんで、お若いお母さんたちを対象に味噌汁作りを教えているんだそうです。味噌汁以前の味噌作りから指導するといいますから、まさに「和の職人」と言えるでしょう。

女性に活動の趣旨をお訊ねすると、『ほんとは味噌汁だけの話じゃないんです。伝え遺したいのは和の心ですよねっ』。
私は「お見事!」と唸りましたよ。知人女性が私に引き合わせたいと思ったのも、それが理由だったのでしょう。おそらくご縁はこの初対面だけで済まないと思います。和食で日本酒を呑みながらの「和談義」。いつかそんな機会が欲しくなる「職人」でありました。
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