角館草履の『実演日記』

〓袖すり合うも多生の縁〓
草履実演での日々の出会いには、互いに何かしらの意味があるのでしょう。さて、今日の出会いは…。

二つの顔を持つお父さん。

2014年06月27日 | 実演日記




今日の草履は、彩シリーズ23cm土踏まず付き[四阡六百円]
紫基調の美しい和柄をベースに、エンジを組み合わせています。角館草履の王道的配色のひとつですね。和の趣に優しさが加わった一品と思います。
「今日の草履」は旧田沢湖町にお住いの常連さんが、最近元気をなくしているというご友人へのプレゼントにお持ち帰りです。優しい色使いの草履が、ご友人の元気の手助けになってくれたら幸いであります。

新聞記事を読んでいていつも不思議に思うのが、「詐欺被害」です。不思議というのも正確ではありませんが、よくもまぁ騙される人がいるのと、よくもまぁそんなに上手く騙すものですよ。これだけ注意を促す文言が世間に溢れているにもかかわらず、詐欺被害の報道が後を絶ちません。

最近多い「ロト詐欺」についてはなおさら思います。抽選した夜にはネットに番号が公開されますから、翌朝の新聞を待つまでもなく多くの人が抽選結果を知っています。そこに目を付けた犯人が「あらかじめ決まっている抽選番号を教えます」ってな言葉で大金を騙し取るわけでしょ。その新聞にも注意喚起の文言が載っているのですから、どうにも手の施しようがありませんね。

神奈川県鎌倉市からお越しのご夫婦旅。七十代半ばと思しきご主人が角館草履を気に入ってくださいました。ただ少し心配しているのが奥様です。お話によると、なんでも衝動買いする割には案外使用しないことが、これまで何度もあったんだそうです。それでもご主人は奥様の「注意喚起」に耳を貸しません。注文書に記入しながら、奥様のご心配を制止するようにおっしゃるのは…

『まぁそう言わないで、騙されたと思って買ってみればいいんだよ。でもまさかそんな詐欺みたいなものを作るわけないさ。で、何で送ってくれるわけ? 郵便? あっそう。オレオレ詐欺がよく使うなんとかパックっていうやつ?』

「衝動買い」と「用心深さ」、二つの顔を持ち合わせたお父さんでありました。
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