角館草履の『実演日記』

〓袖すり合うも多生の縁〓
草履実演での日々の出会いには、互いに何かしらの意味があるのでしょう。さて、今日の出会いは…。

いつか天職に。

2014年06月13日 | 実演日記




今日の草履は、彩シリーズ24cm土踏まず付き[四阡八百円]
今日も可愛らしいピンク色で統一してみました。ピンクの濃淡にプリント柄も違いますから、それなりにメリハリも効いたと思います。こうした配色を中高年のおばさまがご自身用でお選びになるのは、私が期待するほど多くありません。おそらく履きたい気持ちはあっても、自分で選ぶには抵抗があるのでしょう。誰にも遠慮なんか要らないんですけどね。

「今日の草履」をお選びは、5月30日のブログにご登場の劇団わらび座に所属する女性俳優さんです。その日は足を手術したばかりのおばあちゃんへ贈りたいとお訪ねでした。そのおばあちゃん、草履が届いてすぐに履いてくれたそうです。足のむくみが軽減してリハビリも順調とのこと。何より嬉しいご報告でした。

そして今日のお訪ねは、間もなく迎えるお母上のお誕生日に贈りたいとのことです。おばあちゃんが気に入って履いている姿を日々見ているお母さんにも、娘としては履かせてあげたいということなのでしょう。そこで私が「今日の草履」をお勧めしました。お母上のお歳を訊けば五十代、ご自身では選べないピンクの草履をあえてプレゼントしようというわけです。女性も即座に『いいですねっ!』となりました。お勧めした手前、お母上にはなんとしても喜んでほしいところです。

わが家の次女と三女も社会人となって二か月半が経ちました。未だ慣れない仕事に無我夢中、悪戦苦闘といった感じです。聞けばすでに離職した同期もいるとか。いざ現場に出てみると想いが違っていたり、本心からその仕事を目指していなかったことに気付いたり、あるいはミスマッチであったりとその理由は様々でしょう。一つの事業所で一生を終えられれば一番良いのですが、実際の世間はなかなかそうはいきません。

私自身草履職人となるまでは紆余曲折があったわけですが、それまでの生業をムダだったとは思っていません。むしろそこまでの経験が今を支えている部分もあります。
朝ドラ「花子とアン」の主人公も、小学校の教師という仕事が好きでありながら、夢をあきらめきれず間もなく東京へと旅立つ場面を迎えます。どんな人もいつか好きな仕事に就ける、いつか天職に巡り合える、そう信じて生きるのが肝要と思うわけです。

先の女性も、聞けば看護学部を卒業して看護師資格をお持ちなんだそうです。けれどもその職に就かなかったのは、ちょうど卒業の時期に劇団わらび座の公演を観たからなんですね。その舞台に魅了され役者を志すに至るわけですが、親としては複雑だったと思いますよ。最後に秋田行きを認めたのは、女性の心の強さだったんでしょうね。そして女性は今舞台に立ち、観客を魅了する立場になりました。

女性曰く、『看護実習は厳しかったですけど、そのときの患者さんたちとの出会いが今のお芝居に役立ってると思うときがあるんです』。
女性のご両親と、いつかお会いしたいと願っています。

さて、16日と17日の二日間を手の休息日とします。18日から30日まで「大人の休日倶楽部乗り放題チケット」期間ですから、その前に少しお休みを入れることにしました。天職であれば不眠不休…というわけにはいかないようです。
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