角館草履の『実演日記』

〓袖すり合うも多生の縁〓
草履実演での日々の出会いには、互いに何かしらの意味があるのでしょう。さて、今日の出会いは…。

見ている子どもたち。

2016年02月07日 | 地域の話







今日の草履は、彩シリーズ24cm土踏まず付き[五阡四百円]
ピンクの「御殿まり」に、赤の「折り鶴」を組み合わせてみました。可愛らしさで高得点をいただけると確信しますが、双方のプリント柄が日本の美しい文化と感じています。かつて日本の女の子が遊んだ「毬」と「千代紙」、優しさと美しさを兼ね備えた「優美」とは、こうしたものを云うのではないでしょうか。後世に伝えたい伝統文化と思います。

秋田市から二ヶ月に一度くらい遊びに見える、四歳の女の子がいます。おじいちゃんとおばあちゃんが西宮家レストランの常連さんで、一緒についてくるのが女の子というわけです。始めの頃は恥ずかしがっていたのに、何度も顔を合わせるようになるとレストランからひとり出てくるようになりました。おじいちゃんたちも私のところにいる分は安心と思っているようで、最近はご自身の食事が終わらないと様子さえ見に来ません(笑)

いずこも同じで、四歳くらいの女の子はよく喋ります。こちらも面白いので付き合っていると、パパとママの話題は言うに及ばず、『おばあちゃんはね、いっつもケーキばっかり食べてるんだよぉ』。直後に見えたおばあちゃんのお顔を直視できませんでした。
子どもというのは家族をよく見ています。小学生にもなれば子どもの目線ながら、「世間」さえよく見ていますよ。中学生、高校生なら推して知るべしですね。

私が十八歳のときに他界した親父は、無類の酒好きでした。夕暮れになると親父の友人が訪ねてきて、おふくろの帰宅を待たず酒飲みが始まります。陽気に飲んでいるうちはいいのですが、次第に酔いが回ると歩くのもおぼつかなくなり、ある友人はトイレへ立った際風呂へ落ちました。子供心に「ああはなるまい」と思ったものです。一種の反面教師ですね。

このブログでも何度か触れた昨年のお祭り事故。私の同期生がヤマとヤマに挟まれ命を落としました。事故防止とこれからのお祭りの在り方を協議する組織が立ち上げられ、先ごろお祭り実行委員会に対し答申書が送られています。その経緯の中で、角館町にある小学校、中学校、高校の児童生徒へアンケートが回され、結果が新聞やネットで公開されました。

複数の子どもたちが挙げたのは、大人の「酒」についてです。「泥酔状態でヤマについている人がいる」「お祭りとはいえ朝から酒を飲む必要があるのか」。かつて私が子ども時代に感じた疑問と同じですよ。
私も大人になって酒を嗜むようになり、泥酔、酩酊の状態を何度か経験しました。娘たちの前でそうなったことがあるか記憶は定かでありませんが、もしその姿を見ていたら「ああはなるまい」と思ったでしょうね。

角館のお祭りの在り方について、事故以前からさまざまな指摘があったことは過去のブログで触れています。取り返しのつかない大きな代償ではありましたが、これでお祭りが良い方向へ進むんじゃないでしょうか。酒のだらしなさは昔のほうがヒドかったと私は思っています。とはいえ今も子どもの目に余る状態であるなら、この指摘は真摯に受け止めるべきでしょう。

また一方、子どもたちは大人たちを冷静に見ることで、「反面教師」とするのが大事とも感じています。もうすぐこの伝統文化を継承していく担い手が、自分たちに回ってくることだけは間違いありません。
コメント (2)
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