空白時間。

角館草履発売から十年余りが経過し、リピーターさんの存在が年々増加してきました。正確な数値は出ないまでも、年間販売数の30％以上40％に近いくらいがお買い換えの需要ではないかと推計しています。数日前に秋田市からお越しのおじさまも、発売当初からの常連さんでした。二年ペースくらいでもう4～5足目になるでしょうか。新しい草履を手に入れてから古い草履を廃棄するとおっしゃいますから、一日たりとも「空白時間」を作らないということなんですね。

二週間ほど前にスマホを買い換えました。ちょうど二年前にガラケーからスマホへ移行したのですが、最近特に動きが遅くて困っていました。処理能力が限界に達すると、着信した電話にさえ出られなくなるんですよ。目の前で鳴っているのに出られないなんて、弁当を食べたいのに蓋が開かないに等しいでしょう。緊急の場合シャレにならないと思い、二年シバリが解けた最近買い換えたわけです。

その新しいスマホを使いだして十日ほど経った朝、電源が落ちているのに気づきました。消した覚えはないと思いながら電源を入れても、まったく反応がありません。バッテリーが消化されたとは思えませんでしたが、一応充電してみるとやはりランプさえ点きません。その日仕事が休みだった娘にケータイ屋さんへ届けてもらうと、強制終了かなんかで間もなく復元されたそうです。

結局私の手元にスマホがなかった時間はせいぜい五時間程度ですが、やっぱりないと困るもんですね。朝のテレビで高校生が、「スマホがなかったら生きていけませんよ」と真顔で話していました。さすがにおっさんは生きていけないとまで思わないにしても、時計・電話・メール・ＳＭＳ・Line・Facebookはほぼ毎日使いますから、手元にない「空白時間」はそれなりの制約を受けるところまで来ています。

角館草履のご愛用者様にも、草履がスマホに準じた存在となっていただけたら本望であります。