角館草履の『実演日記』

〓袖すり合うも多生の縁〓
草履実演での日々の出会いには、互いに何かしらの意味があるのでしょう。さて、今日の出会いは…。

変わらぬ顔ぶれで。

2011年06月13日 | 実演日記




今日の草履は、彩シリーズ23cm土踏まず付き〔四阡円〕
ベース生地は先回の色違いです。同じプリント柄でも色がこれだけ違うと、雰囲気さえガラリと変わりますね。組み合わせに茶系を利用したことで、対象年齢は少し上がりましたか。平生地はこちらです。



平日の今日も「JR東日本ワンデイフリーパス」をご利用のお客様が、少なからずおられました。ただ震災後の線路状況が未だ完全ではなく、一部を徐行運転しているようです。つまり東京~角館間の所要時間が長い分だけ、当地への滞在時間が短くなるんですね。日帰り予定のお客様は、少し足早に過ぎて行くように感じました。

そんな中、おばさま三人におじさま一人の四人旅。みなさん秋田市ご出身の同級生で、うちのおひとりは愛知県、もうおひとりは東京にお住まいだそうです。あとのお二人がご夫婦で現在も秋田市在住、みなさん賑やかに且つゆっくりと実演を愉しまれました。
特におじさまはご自身が布草履を編まれるとのことで、私が使っている草履台から関心が高かったです。

いっとき大騒ぎした後、おばさま三人は米蔵の中へ、実演席の丸太椅子にはおじさまひとりが残りました。私が米蔵の中のおばさまたちを見ながら、『女性の同級生っていうのは、いくつになっても仲良しだんシなっ』と言うと、『んだがらよぉ。あんまり仲良すぎて、みんな同じ癌になってしまったものなぁ。これから玉川温泉サ湯治に行くんだども、今年で五年目になるかなぁ』。

そんな大病を患っているとは、聞かなければ誰も分かりません。そのくらい笑顔が絶えない元気なおばさま三人組なわけです。

私の母親は、男5人、女4人の9人きょうだいでした。今も存命なのは男2人に女4人、日本の平均寿命よろしく、姉妹のほうが元気なんですね。今でこそみんな高齢者となってしまいましたが、少し若い頃は姉妹が集まるとそれは賑やかなものでした。

それが一番上の姉が数年前から認知症を患い、施設に入所しました。それ以来姉妹の集まりが極端に減った気がします。それはもちろん加齢もあるのでしょうが、いつもの顔ぶれにひとり足りないだけで、集まろうという意欲がなくなるんじゃないでしょうか。

今日のおばさまたちが、『また遊びに来るからね~』と手を振ってお帰りになる姿を見ながら、三人揃っての笑顔が一日でも長く続くことを祈っていました。
コメント
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