晴明 の記事に書いた本を読んでみました。
「男役」 中山可穂:著 (角川書店 1,600円+税)
まずは、帯に書かれた文章を引用します。
“大劇場に 夜の帳が降りるころ 伝説の男装の麗人が 奈落の底から よみがえる”
“男役という稀有な芸への熱いオマージュを込めて中山可穂が情感豊かに描く、悲しく切なる恋愛幻想譚”
まず、この文言を読んで、 宝塚歌劇に名を借りたただのファンタジー?つまらないのでは!? と危惧したのですが‥‥あるあると頷いたりしながら、さくさくと面白く読めました
以下、多少はネタバレしています。
(感想部分※は“読書メーター”のマイページに投稿したものに、手を加えました。)
※ 大劇場には“ファントムさん”と呼ばれる、50年前に事故でなくなったトップスターの亡霊が棲んでいるのです。
ひとつ間違えると露悪趣味になってしまう題材ですが、“ファントムさん”という存在が緩衝材になって、ある種のファンタジーとしての読み物に仕上がっていたと思います。
しかし、ファンタジーとはいいながら、トップスターの有り様や、男役と娘役の関係や、上級生から下級生へのアドバイスなど“宝塚あるある”的で、かなりリアリティーがありました。
取材もしっかりなされていたようで、舞台や稽古場の描写などにも違和感はなく、抵抗なく読み進むことができました。
ただ、宝塚歌劇をほとんど観たことのない人がこれを読んだら、暗黙の了解事項が多くて、とまどうかな、とは思います。 ※
中山可穂さんは、かつて熱烈なヅカファンだったそうで、長いブランクの後に、また観劇するようになったそうです
ある元男役トップスターとじっくり話す機会があって、この作品を書くインスピレーションをもらったと、あとがきにありました。
誰かな~?