「オスカル」
「はい、お父様」
「次に私が出かけるときにきみもいっしょに出かけましょう。」
「え!?」
「長旅になりますよ。ついてこられるかな?」
「どこ?どこに?」
「まず一度スウェーデンに参りましょう」
「新しいお母様に会えるのですか?」
「そうですよ。長く待たせましたね。」
「ソフィアは。貴方の新しいお母様はとてもとても優しい人ですよ。何も心配はいりません。
」
「はじめまして。オスカル・ヴィクトールです。あの……」
「まぁこんな北の国までようこそいらっしゃいましたこと!嬉しいわ。ゆっくりしていってくださいね」
「どうです?オスカルに似ているでしょう?」
「ええ、とても。オスカルさまが戻ってこられたような感じがいたしますわ。」
僕は母似らしい。何度同じ事を言われたことか………!その度にみんながみんな「オスカルさま」って呼ぶんだ。そして「あの頃の薔薇色のベルサイユ宮廷を思い出す」「君もがんばりなさい」とも言うんだ。それをお父様に話すと「ベルサイユは青春の全てでしたからね」とおっしゃる。
ソフィアかあさまには子供がふたりいて4歳のシャルルと3歳のフランシス。初めて逢う僕の弟と妹。何して遊んで上げたら喜ぶのかな?
「君に兄弟を与えてほしいというのは、お母様の遺言だったのですよ。だから、仲良くなさい。君はお兄様ですからね。」
「はい、お父様!」
わかるけれどみんなお母様の遺言とやらに振り回されていない?
僕は今、外国にいる。スウェーデンにいる。外国って話す言葉が違うって習ったのにここのお家では小さな子供もみんなフランス語が通じる。
「それだけフランスは偉大な国なのです。今はとんでもないことになっていますがね。君はフランス人であることに誇りを持たねばなりませんよ。」
「あと2年したら、みんなでパリで暮らすのでしょう?」
「そうですよ。郊外にうちの別邸があるのですよ。そろそろ手を入れさせておかないとなりませんね。郊外だから景色がとてもよいのですよ。ソフィアも楽しみにしていらっしゃい」
「お馬の、…お馬の練習は出来る?」
「もちろんできますとも。とても良いコースがありますよ。いっしょに練習しましょう。オスカル。」
「僕は僕はね、シャルルにお馬を教えてあげれるね。」
「おやおや、楽しみが増えましたね、ソフィア。」
「本当に…2年後が楽しみですこと。」
シャルルやフランシスとたくさん遊んで2ヶ月が過ぎた。お父様が何人か部下の人を付けてくれて僕はひとりでリヨン郊外の家にもどってきた。家ではロザリーとフランソワが首を長くして待っていてくれてぼくはたくさんたくさんストックホルムの話をした。僕に弟と妹がいることがフランソワにはうらやましかったみたい。いつもフランソワはお母様といっしょにいるのだから、そこはおあいこだよね。
(続く)
「はい、お父様」
「次に私が出かけるときにきみもいっしょに出かけましょう。」
「え!?」
「長旅になりますよ。ついてこられるかな?」
「どこ?どこに?」
「まず一度スウェーデンに参りましょう」
「新しいお母様に会えるのですか?」
「そうですよ。長く待たせましたね。」
「ソフィアは。貴方の新しいお母様はとてもとても優しい人ですよ。何も心配はいりません。
」
「はじめまして。オスカル・ヴィクトールです。あの……」
「まぁこんな北の国までようこそいらっしゃいましたこと!嬉しいわ。ゆっくりしていってくださいね」
「どうです?オスカルに似ているでしょう?」
「ええ、とても。オスカルさまが戻ってこられたような感じがいたしますわ。」
僕は母似らしい。何度同じ事を言われたことか………!その度にみんながみんな「オスカルさま」って呼ぶんだ。そして「あの頃の薔薇色のベルサイユ宮廷を思い出す」「君もがんばりなさい」とも言うんだ。それをお父様に話すと「ベルサイユは青春の全てでしたからね」とおっしゃる。
ソフィアかあさまには子供がふたりいて4歳のシャルルと3歳のフランシス。初めて逢う僕の弟と妹。何して遊んで上げたら喜ぶのかな?
「君に兄弟を与えてほしいというのは、お母様の遺言だったのですよ。だから、仲良くなさい。君はお兄様ですからね。」
「はい、お父様!」
わかるけれどみんなお母様の遺言とやらに振り回されていない?
僕は今、外国にいる。スウェーデンにいる。外国って話す言葉が違うって習ったのにここのお家では小さな子供もみんなフランス語が通じる。
「それだけフランスは偉大な国なのです。今はとんでもないことになっていますがね。君はフランス人であることに誇りを持たねばなりませんよ。」
「あと2年したら、みんなでパリで暮らすのでしょう?」
「そうですよ。郊外にうちの別邸があるのですよ。そろそろ手を入れさせておかないとなりませんね。郊外だから景色がとてもよいのですよ。ソフィアも楽しみにしていらっしゃい」
「お馬の、…お馬の練習は出来る?」
「もちろんできますとも。とても良いコースがありますよ。いっしょに練習しましょう。オスカル。」
「僕は僕はね、シャルルにお馬を教えてあげれるね。」
「おやおや、楽しみが増えましたね、ソフィア。」
「本当に…2年後が楽しみですこと。」
シャルルやフランシスとたくさん遊んで2ヶ月が過ぎた。お父様が何人か部下の人を付けてくれて僕はひとりでリヨン郊外の家にもどってきた。家ではロザリーとフランソワが首を長くして待っていてくれてぼくはたくさんたくさんストックホルムの話をした。僕に弟と妹がいることがフランソワにはうらやましかったみたい。いつもフランソワはお母様といっしょにいるのだから、そこはおあいこだよね。
(続く)