夢うつつ♪つれづれ草子

書いて残しておきたい事が、たくさん出来ました(*^^*)
自分自身のための備忘録なんだけれど…いろいろ書きたいな♪

『摩利と新吾』完全版が出ました

2019-08-08 11:07:12 | 小説や漫画や映画やテレビや音楽のこと。



木原敏江先生の代表作のひとつである『摩利と新吾』の完全版が出ました。
連載当時のカラーページを再現、巻末には木原先生へのインタビューなどが掲載されて、全5巻です。
全て揃えると10,000円を超えますが・・・えいやっ❗️と買ってしまいました。
漫画雑誌よりひとまわり小さい愛蔵版サイズ、A5くらいです。

実は、1~2年前から『摩利と新吾』をちゃんと読みたくて探していたのでした。文庫本は絶版になっている巻もあり、中古本のセットを買うかな?電子書籍かな?・・・古い人間なので紙で読みたいなと思って・・・何となくそのままにしていたら、完全版が発売されたという次第です☺️

全部読むのに、かなり時間がかかりました。
読み終えたら充実感はんぱなく、思わず好きな箇所をリピート🔁

イマドキの漫画に比べて、コマ割りが細かいし、文字の情報量も多いし、後半の方は木原敏江先生の絵が超絶素敵✨になっていて見とれるわで、なかなか進みませんでした💦
たぶん、全5巻のうち、4巻途中からと5巻は初読みなので、ワクワクしながら読みました。


読んでいるうちにだんだん思い出してきたこともあって・・・
最初の方のエピソードは、わりと記憶が鮮やかで、当時の連載誌の「LaLa」を読んでいた部屋の情景まで思い出したり。
この登場人物はどうしても好きになれなかったなぁ、とか、いちばんのお気に入りキャラは摩利でも新吾でも夢殿さんでもなく紫乃さんで、それは今でも変わっていないなぁ、とか。
若い時分には気づけなかったけれど、摩利の父の鷹塔思音(たかとうもね)氏は、仕事面ではとても有能な経営者だったのだなぁ、とか。

今、改めて読むと、旧制高校の学園ライフを面白おかしく、時には切なく苦しく描いているだけではなく、登場人物それぞれの心理描写が深すぎます。
第二次世界大戦までは、当たり前のこととして存在していた「階級」にもちゃんと目が向いています。
それと明治43年(1910年)からスタートして、特に舞台がヨーロッパに移ってからは、第一次世界大戦中のヨーロッパ情勢に絡め、日本では関東大震災が重要なキーになっていたり、少女漫画ではありましたが、歴史的背景がしっかりしていたのが印象的でした。
(摩利を主人公にして、ヨーロッパを舞台にした3編の番外編も、大戦後から大恐慌前の時代の物語だとわかるようになっています。)
だから、心理描写はとても繊細ですが、物語自体は改めて読むと、とても骨太です。

悪人が登場しないこと、困っていれば手を差しのべてくれる人が必ずいること、なども特徴的でしょうか?
ファンタジーと言ってしまえばそうなのですが、決してご都合主義とは感じなくて、すとん!とちゃんと胸に落ちてきて、「ああ、そういう事もあるかも」と頷いてしまいます。

そして何といっても素晴らしいのは、日本語が美しいことです。

この『摩利と新吾』や「夢の碑」シリーズもそうですが、木原作品に出会えて良かった♥️
木原敏江先生、どうもありがとうございます🤗


『摩利と新吾』についての木原敏江先生へのインタビューも、とても興味深く読みました。

そもそも旧制高校を舞台にした漫画を書くきっかけになったのは、北杜夫氏の『どくとるマンボウ青春記』を読んだことだそうです。
また、同世代の漫画家たちが当時(1970年代はじめ)、どんどん面白い作品や新しい作品を生み出していて、「みんながこんなに面白いものを描いている、こうしてはいられない、私も描きたいものを描きたいように描こう❗️」と発奮したこと。
でも、木原先生がその頃描いていた〈週刊マーガレット〉誌は、女の子を主人公にしなくてはならない、という縛りがあって、旧制高校を舞台にして、摩利と新吾を登場させたけれど『あーら、わが殿』という作品しか描けなかった。
で、〈LaLa〉誌が創刊されて、自由に描かせてもらえることになって、摩利と新吾を主人公にして描けるわ🎵となって、描きはじめたのが『摩利と新吾』。
最初は、このような長編にするつもりではなく、一話完結の読み切りをいくつか描いているうちに、やがて連載となり、大長編となって、木原先生の代表作のひとつになったそうです。
また、線の勢いについて語っていられて、こればかりは年齢に比例するそうです。だから、『摩利と新吾』の新作は、たとえ今の絵でいいと言われても、もう線に勢いがないので無理だそうです。〈青春の輝き〉はリアルタイムでないと辛いと言われていました。
うーん、分かるけれど、さびしい😢

『摩利と新吾』は、編集部からさっさと終わらせてほしいと言われたわけでもなく、人気作品だから引き延ばされたわけでもなく、木原敏江先生ご自身が「LARGO」を最終章と位置づけて、お話というものはこういうふうに終わっていくものとしてピリオドを打ったそうです。
作品としては幸せな結末を迎えられたのは何よりでした🍀😌🍀

本編最終ページ


木原敏江先生は、捨てる神あれば拾う神あり?で、さまざまな出版社を渡り歩いて描き続けてこられました。
なので、一昨年に出版された、画業48周年(1969年にデビュー)の特集本を出してもらえるとは思っていませんでした、とのこと。
因みに、今回の『摩利と新吾』完全版も、河出書房新社から出版されています。(連載誌は白泉社でした。)

今は、一日に2ページ描くくらいのペースだそう。
ずっとお元気で描き続けてくださいませ✨


おまけ♥️紫乃さん





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