緑陽ギター日記

趣味のクラシック・ギターやピアノ、合唱曲を中心に思いついたことを書いていきます。

エミリオ・プジョール作曲「グアヒーラ」を聴く

2019-10-22 16:14:27 | ギター
思いっきり暗く、荒涼としていて、恐ろしく不気味な現代音楽を聴きたくて探しているのだが、なかなか見つからないので、その反動で陽気で明るいギター曲を聴いてみることにした。

曲はエミリオ・プジョール(Emilio Pujol 1886-1980)作曲「グアヒーラ」(Guajira)という曲。
この「グアヒーラ」を初めて聴いたのは高校3年生の時で、ちょうどそのころ放送されたFMラジオで、アレクサンドル・ラゴヤの演奏だった。



Alexandre Lagoya - Guajira (E.Pujol)


エミリオ・プジョールのギター曲は既に6弦時代のイエペスの演奏で「熊蜂」を聴いていたが、エミリオ・プジョールがこんな明るくて陽気な曲を作っていたことが意外だった。
とにかく今までに無いギター曲で、当時暗かった私でもこの曲は何か惹き込まれるものがあった。
そしてこの曲を好きになったもう一つの理由が、アレクサンドル・ラゴヤの演奏だった。
このFM放送で彼の演奏を初めて聴いたのだが、胸のすくようなテクニックと美音で、当時の著名なギタリストに無い魅力があった。
他にアルベニスのタンゴやコルドバの演奏が聴けたが、コルドバの演奏は素晴らしいものだった。
カセットテープの録音が途中で切れてしまって、その後このコルドバの演奏録音を聴きたくて探しているのだが、見つけることが出来ないでいる。
グアヒーラの入ったレコードは社会人になってだいぶ経ってから、中古レコードで見つけた。



高校生の頃、これと同じレコードが札幌の玉光堂で売られていたが当時の私には買えなかった。
(コルドバはこのレコードとは別のレコードだと思われる)
ちなみにラゴヤの妻で早世したイダ・プレスティもこの曲を録音に残した。



ラゴヤとは二重奏で多くの名演を残したが、このグアヒーラの演奏はラゴヤのものとはだいぶ異なるものだ。

社会人になってしばらくしてから、ジュリアン・ブリームが「ロマンティック ギター」というアルバムをCDで買ったが、このアルバムの中に「グアヒーラ」が収録されており、ブリームがこの曲を弾くことがとても意外に感じたのである。



ブリームの演奏はラゴヤとかなり違っていた。
ラゴヤの演奏が頭に刷り込まれていた私は、ブリームのこの演奏にいささか落胆した。
そして1、2回聴いただけでこの演奏を聴くことはなくなった。

しかし今回このブリームの弾く「グアヒーラ」を久しぶりに聴いてみて、以前(30年近く前だと思うが)聴いた時の印象と全く違っていた。

Julian Bream - Emilio Pujol - Guajira


4、5回繰り返し聴いてみると、このブリームの演奏が物凄くスピリットに溢れていて、誰も到達できない程のレベルにまでこの曲をものにしているのではないかと思えるほどに感じるものがあった。ギターをただ弾いているという感じとは全く違う!
(ラッセルの演奏と是非聴き比べて欲しい。)

とくに次の部分は凄い。









ブリームの録音を聴いてからしばらくして、この曲を自分で弾いてみようと思い楽譜を買ったが、はっきり言って難しすぎ。
楽譜は新品状態で現在に至っている。


(グアヒーラの楽譜は「3つのスペインの曲」という曲集の中にある)

とにかくこの曲はいろいろと深く考えず、スペイン人が生み出した独特の音楽、乾いた風土から生み出されたからであろう、明るく陽気でリズムに富んだ気分を味わってみるのが一番だ。

グアヒーラはフラメンコの曲で、いかにもスペインの伝統音楽の雰囲気が伝わってくる。
オリジナルを聴きたければ、ラモン・モントーヤ(Ramón Montoya)の演奏がYoutubeにある。

(注)
Youtubeの音が、オリジナルの録音よりもとても悪くアップロードされている(とくにラゴヤ)。
このYoutubeの音や演奏が本来のものとは思わないように。
可能であればオリジナルの音源を聴くのが最もいい。

そしてエミリオ・プジョールの曲でいい曲(練習曲)を見つけた。
後日記事にしたい。
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