こんにちは。
台風がようやく去っていきました。しかし外は寒く、冬が一段と近づいているように感じました。
この数日雨降りが続きましたが、室内の湿度が80%まで達しました。
高い湿度はギターなどの木製楽器に良くありません。これは木が水分を吸収して膨張したり、柔らかくなったりするので、ギターの場合、表面板や裏板がアーチ状に膨らんだり、ネック(棹)が反ってしまったりするトラブルが起きやすいからです。
だから楽器にとっては常に湿度50%を維持することが理想なのですが、日本の場合、エアコンを使わない梅雨期と秋の多雨期にどうしても室内の湿度が上がってしまうので、この時期は特に注意しなければなりません。
当面簡単に出来る対策としてはギターを弾かない時に弦を緩めておくことです。
湿度が高いと先に述べたように木材が水分を吸って膨張し、柔らかくなるので、この状態で弦の張力が強くかかると木材の反りを加速させます。
よくスペインの製作家の中には、弦を緩めると表面板にストレスがかかるので緩めてはいけない、という方がいます。弦を交換する時も1本ずつ調弦しながら交換しなさいと言います。弦を常に調弦した状態にしておけるのは、スペインのように雨が殆ど降らず年中乾燥している地域だから可能なのであって、日本のように湿度や温度の差が激しい地域にはあてはまりません。
製作家は自分の楽器や環境を基準にものを言う傾向があります。湿度が常に適正な環境で、表面板の板厚も標準以上の楽器で、毎日弾くのであれば弦を緩める必要はないかもしれません。
しかし1週間に1回あるいはそれ以上に頻度の少ない使い方で、弦を緩めないでおくことはリスクがあることは否定できません。
私は以前、スペインの製作家の製作する楽器のネックを梅雨期に順反りさせてしまったことがあります。購入して数年間、ネックは真っ直ぐで反りはありませんでしたが、たまたま梅雨期の湿度の高い時に張力の強いサバレス・アリアンスという弦を張り、練習が終わった後で弦をあまり緩めないでケースにしまっておいたのですが、1週間後にケースから取り出してみるとネックが見事に順反りしていました。
これはギターが高級であろうがなかろうが関係ありません。数百万円する楽器でもネックが反って弦高が高くなって弾きづらい楽器はあります。
ギターはネックを順反りさせてしまうと大変弾きづらくなります。0.1mmでも弦高が上がるだけでも弾きづらく感じるものです。
また最近のギターの傾向として表面板の板厚が薄いものが増えてきていますが、湿度が高い時に長時間弦の張力がかかると表面板が持ち上がってしまう危険性があるので注意が必要です。ある女性ギタリストが使用しており本人が自ら推奨しているギターのブリッジ(下駒)付近の表面板の厚みが0.9mmと聞いて驚いたことがあります。このような構造のギターで高音多湿で弦を緩めないで保管していたとしたら、表面板が容易に持ち上がってしまう危険性があることは容易に想像できるのではないでしょうか。
乾燥や多湿による木材の動きは弦を緩めることで表面板にかかるストレスよりもはるかに上回ります。
私は今から30年くらいまえに初めて買った手工ギターの表面板と指板の両方を割ってしまったことがあります。それは当時冬の乾燥の厳しい北海道に住んでいた時で、購入して数ヶ月経った春先(4月初め頃)に、指板と表面板の接着部の両脇を割ってしまいました。
また購入して4年くらい経過した頃、3月頃に指板をサウンドホール側から12フレット近くまでの長さで割ってしまいました。この時はたまたまギターに近くにいたので割れた瞬間「パン!」という大きな音がしたので驚きました。
弦を緩めるか否かについては確たる定説はなく、製作家も含めて色々な見解があります。
しかし最も大事なことは自分の使用するギターの特性を、自ら良く知っておくことだと思います。私はギターを何本か持っていますが、値段に関係なく、購入した時からネックが全然変動しないもの、購入した時は真っ直ぐだったのが後で反ってしまったもの、多湿期にネックが反るが乾燥期には元に戻るものなど様々です。
自分の楽器が湿度に影響しやすいことが分かったならば、出きるだけ湿度を常に最適に保つ必要があります。それが困難であれば弦は緩めておいた方が無難です。
弦を多少緩めたぐらいで表面板にダメージを受けることなんてありません。1日に何十回も繰り返せば少しは影響が出るかもしれませんがそんなことをする人はいないでしょう。
弦を緩めることによるストレスよりも湿度の大きな変化で木が伸縮することの方がもっと楽器にとって悪い影響を及ぼします。割れたり、大きく反らせてしまったら、木材は2度と元に戻りません。
台風がようやく去っていきました。しかし外は寒く、冬が一段と近づいているように感じました。
この数日雨降りが続きましたが、室内の湿度が80%まで達しました。
高い湿度はギターなどの木製楽器に良くありません。これは木が水分を吸収して膨張したり、柔らかくなったりするので、ギターの場合、表面板や裏板がアーチ状に膨らんだり、ネック(棹)が反ってしまったりするトラブルが起きやすいからです。
だから楽器にとっては常に湿度50%を維持することが理想なのですが、日本の場合、エアコンを使わない梅雨期と秋の多雨期にどうしても室内の湿度が上がってしまうので、この時期は特に注意しなければなりません。
当面簡単に出来る対策としてはギターを弾かない時に弦を緩めておくことです。
湿度が高いと先に述べたように木材が水分を吸って膨張し、柔らかくなるので、この状態で弦の張力が強くかかると木材の反りを加速させます。
よくスペインの製作家の中には、弦を緩めると表面板にストレスがかかるので緩めてはいけない、という方がいます。弦を交換する時も1本ずつ調弦しながら交換しなさいと言います。弦を常に調弦した状態にしておけるのは、スペインのように雨が殆ど降らず年中乾燥している地域だから可能なのであって、日本のように湿度や温度の差が激しい地域にはあてはまりません。
製作家は自分の楽器や環境を基準にものを言う傾向があります。湿度が常に適正な環境で、表面板の板厚も標準以上の楽器で、毎日弾くのであれば弦を緩める必要はないかもしれません。
しかし1週間に1回あるいはそれ以上に頻度の少ない使い方で、弦を緩めないでおくことはリスクがあることは否定できません。
私は以前、スペインの製作家の製作する楽器のネックを梅雨期に順反りさせてしまったことがあります。購入して数年間、ネックは真っ直ぐで反りはありませんでしたが、たまたま梅雨期の湿度の高い時に張力の強いサバレス・アリアンスという弦を張り、練習が終わった後で弦をあまり緩めないでケースにしまっておいたのですが、1週間後にケースから取り出してみるとネックが見事に順反りしていました。
これはギターが高級であろうがなかろうが関係ありません。数百万円する楽器でもネックが反って弦高が高くなって弾きづらい楽器はあります。
ギターはネックを順反りさせてしまうと大変弾きづらくなります。0.1mmでも弦高が上がるだけでも弾きづらく感じるものです。
また最近のギターの傾向として表面板の板厚が薄いものが増えてきていますが、湿度が高い時に長時間弦の張力がかかると表面板が持ち上がってしまう危険性があるので注意が必要です。ある女性ギタリストが使用しており本人が自ら推奨しているギターのブリッジ(下駒)付近の表面板の厚みが0.9mmと聞いて驚いたことがあります。このような構造のギターで高音多湿で弦を緩めないで保管していたとしたら、表面板が容易に持ち上がってしまう危険性があることは容易に想像できるのではないでしょうか。
乾燥や多湿による木材の動きは弦を緩めることで表面板にかかるストレスよりもはるかに上回ります。
私は今から30年くらいまえに初めて買った手工ギターの表面板と指板の両方を割ってしまったことがあります。それは当時冬の乾燥の厳しい北海道に住んでいた時で、購入して数ヶ月経った春先(4月初め頃)に、指板と表面板の接着部の両脇を割ってしまいました。
また購入して4年くらい経過した頃、3月頃に指板をサウンドホール側から12フレット近くまでの長さで割ってしまいました。この時はたまたまギターに近くにいたので割れた瞬間「パン!」という大きな音がしたので驚きました。
弦を緩めるか否かについては確たる定説はなく、製作家も含めて色々な見解があります。
しかし最も大事なことは自分の使用するギターの特性を、自ら良く知っておくことだと思います。私はギターを何本か持っていますが、値段に関係なく、購入した時からネックが全然変動しないもの、購入した時は真っ直ぐだったのが後で反ってしまったもの、多湿期にネックが反るが乾燥期には元に戻るものなど様々です。
自分の楽器が湿度に影響しやすいことが分かったならば、出きるだけ湿度を常に最適に保つ必要があります。それが困難であれば弦は緩めておいた方が無難です。
弦を多少緩めたぐらいで表面板にダメージを受けることなんてありません。1日に何十回も繰り返せば少しは影響が出るかもしれませんがそんなことをする人はいないでしょう。
弦を緩めることによるストレスよりも湿度の大きな変化で木が伸縮することの方がもっと楽器にとって悪い影響を及ぼします。割れたり、大きく反らせてしまったら、木材は2度と元に戻りません。