晴乗雨読な休日

休日の趣味レベルで晴れの日は自転車に乗ってお出かけ。雨の日は家で読書。

浅田次郎 『沙高樓綺譚 草原からの使者』

2014-05-04 | 日本人作家 あ
この作品は、「沙高樓綺譚」のシリーズ2作目。

ざっとあらすじを説明しますと、東京の青山にある高層マンションの
一室にある「沙高樓」という、地位、名誉、金のある人ばかりが
集って、他では言えない話を語る場。

その話は、自己申告ではありますが、けっして嘘や誇張してはならない、
そしていっさい他言してはならぬというルールがあります。

刀剣の商売をしていた「私」は知り合いの刀鑑定家である小日向賢吉に
誘われて、「沙高樓」へ行くことに。

今回も、貸しビル王と呼ばれる女装が趣味のオーナーが司会進行をし、
一流と呼ばれる人が話をはじめます。

「宰相の器」では、ある有名政治家の秘書が登場。与党の総裁選に出馬
し、選挙で敗れた時の裏話を披露します。それは、豪放磊落と思われて
いるその政治家はじつは究極の小心者で、総裁選にも占い師に頼んでも
らおうとし、秘書が占い師のもとへ・・・という話。

「終身名誉会員」では、三杷グループの当主、第十九代三杷儀右衛門こと
三杷晴樹の、「ぼくは無一文になってしまった」という一言からはじまり
ます。秘書の用意したイギリスへの旅で、格式高いホテルに泊まり、
そしてとあるカジノへ出向いて大当たりするのですが・・・という話

表題作「草原からの使者」は、大馬主が登場。祖父のはじめた牧場を
父が継ぐのですが、その息子である現在のオーナー、鶴岡勝政がどの
ようにして父から牧場を継ぐことになったのか、昭和48年の日本
ダービー、ハイセイコーが出場したレースに話は絡んでくるのですが
・・・という話。

そして最後の「星条旗よ永遠なれ」は、元アメリカ陸軍大佐、アレク
サンダー・トーマス・ラッセルが登場。GHQの統治時代に来日し、日本人
のハルコさんと結婚、その後アメリカに移住し、退役後は東海岸に住み、
退役軍人の集うカフェで彼らと語り合う、ちょっと下ネタな話。

外部に他言してはいけないというルールのもと、話がはじまるのですが、
どれも、他人に話したとして、信じてはもらえないだろうな、という
エピソードですが、そこがまた面白い。


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