晴乗雨読な休日

休日の趣味レベルで晴れの日は自転車に乗ってお出かけ。雨の日は家で読書。

夢枕獏 『陰陽師』

2011-11-27 | 日本人作家 や
今さらですが。まだ読んでなかったもので、前から
気にはなっていました。

まあ、説明も特に必要ないくらい、映画も大ヒット
したことですし、陰陽道もブームになりましたから、
安倍晴明について、ちょこっと説明しますと、平安
時代のけっこう位の高かった貴族、いや、貴族かど
うか微妙なポジションで、この当時は妖怪のたぐい
が実在していると真剣に信じられていた時代で、い
わば「悪魔祓い」という役職が貴族政治の中において
重要だったわけです。

そんな晴明と、彼の親しい友達で武士の源博雅が、
京の都に出没する妖怪(怪しい現象)の諸問題を
解決する、といった話なのですが、ホラーじみて
もなく、ファンタジーに走り過ぎているわけでも
なく、そこは「遠い昔の、この国にあったこと」
と捉えることのできる軽快な文体。

京の都の羅城門で、夜中に琵琶の鳴る音が。博雅
が詳しく聞いてみると、どうやらその音の正体は、
数日前に帝(天皇)が所有していた、玄象という
琵琶の音に間違いがなく、そして、ある歌を歌っ
ていたのです。

その歌とは、歌合せという勝負で、渾身の歌を
披露したのに負けてしまい、それを苦にとうとう
自殺までしてしまった壬生忠見という人の歌で、
忠見は化けて帝の琵琶を盗み、羅城門にこもって
夜な夜な弾いているようで・・・

他にも、女の怨念で口無しになってしまった話、
カワウソに呪われた話など、バリエーション豊か。

妖怪と“共存”していた時代、とはいっても、じつ
は自分にとって都合の悪いことを妖怪のせいにした、
なんていうこともあったでしょうね。
コメント
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