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年末、棚を整理してゐて、久しぶりにリヒテルのラフマニノフのピアノ協奏曲の2番を聴いた。
ラフマニノフの曲自体がさう滅多に聴きたいとは思はないし(年に一度くらゐだらうーか)、春から夏にかけては意趣に合はない感じですし、晩秋にでも聴いたら死にたくなるやうな曲もある。
さうなると、冬の、それも陰々とした雪の景色のなかでは、妙に調和されて抵抗がない。
雪の景色がなかったら出来なかっただらう曲が多い。
ピアノ協奏曲は、確か、アシュケナージの新旧の全集と、他の演奏が4、5枚はあったやうな気がする。
もっとも気軽に聴けるのはアシュケナージの旧録音で、若きプレビンが薄味のよいバックをつけてゐる。
それに較べると、リヒテルの演奏は(まともに聴いたのは10ぶりくらゐか)対極で、全体の姿もピアノの音色も暗く、重い。
この曲のひとつの名盤ですが、50年ほどの前、まだソ連から出られない偉大なピアニストの西側陣営への挑戦状ともいへる、半端な軽みは踏み潰すといはんばかりの演奏です。