『ガス室に消えた画家』 2010-09-30 | 本や言葉 『ガス室に消えた画家-ヌスバウムへの旅-』(大内田わこ著/草の根出版会)といふ小さな本を図書館で借りてきました。 ヌスバウムの生涯やその絵を追ったものですが、激しく不安や恐怖や隠された怒りを込めたその絵には、少なからず言葉を失ひます。 ただ、きっと、アウシュビッツで殺された画家、といふことよりは、その尖鋭的な画風がもっと再評価されしかるべきでせうし、ヌスバウムを密告したとされる近所の少年を描いた作品は、その少年の屈折した心情が暗い画面から溶け出して、心を揺さぶる。