尾花沢市のお客様へ伺った帰路、国道13号を少しはずれて寄ってきました。
五十沢(いさざわ)観音です。
杉木立の中に、細く急な石段があります。
石段を登りきると、小さな観音堂があります。
近隣人の信仰が篤いのでせう、所狭しと貼られたお札は、まるでお堂を守るやうでした。
雪深い里の観音堂です。
すぐ横の樹も、長年の雪で根曲がりになりながら、枝を広げてゐました。
石段の横の木漏れ日。
戦国の世、近畿地方から逃れてきた武士たちが落ち延びたとされる里、です。
最近は、数多く残ってゐる茅葺きの民家の保存運動も起きてゐます。
冬は、深い雪に閉ざされるところでせうが、
梅雨明けなったやうな夏の日差しを浴びて、
草いきれの中で小さなお堂は詣でるひとの願ひを黙って聞いてゐるやうでした。