やまがた好日抄

低く暮らし、高く想ふ(byワーズワース)! 
山形の魅力や、日々の関心事を勝手気まま?に…。

それぞれ、素敵で…

2012-05-15 | 音楽を
以前にも書いたと思ひますが、バッハの《マタイ受難曲》を初めて聴いたのは、25年以上前のことでした。

在京のころ、仕事しかしてゐない時期でした。
忘年会だったか、その前の飲み会だったか、新宿で大いに飲んで帰宅し、酩酊してゐたのですが、でも何故か眠れなくてFMをかけた。

なんの前触れもなく、突然こころに刺さる音楽が聞こへてきた。
手元にあったFM雑誌で番組を確認したら、バッハの《マタイ受難曲》だった。

ライプティヒ・ゲヴァントハウスでの演奏だった、と記憶してゐますが、詳細は失念してゐます。

そのまま、身じろぎもしないで、深夜の終章まで聴いた。
敬虔なクリスチャンでもなければ、仏教徒でもない人間が、散りばめられた幾度かのコラールのたびに、哀切なアリアのたびに、涙をこぼしてゐました。

実演に接したのは一度だけー。リリング指揮の日本フィルの演奏ー。

ある意味、キリストの教へを説く説教劇なのでせうが(むか~し、パリのノートルダム寺院に行きました。中に入ると、その巨大さもさることながら、その暗さに驚きました。そして、はるか高いところのステンドグラスから、計算された光が届くー。そんな中で、キリストの教へを説くために作られた気も致します)、勿論、バッハはその持てる技をすべて注ぎ込んで作曲したのでせうが、その次元をはるかに通り越して、人類が残せる唯一無二の”音楽”となってゐる。

(ダメ人間の小生には)拙かった人生を悔やみ、振り返り、けれど、その先もまた、拙いながらも、勁く生きてゆく覚悟を求める、そんな、試金石のやうな音楽です。



とまれ、BWV244で検索してゐたら、有名な演奏がたくさんありました。

発売時大いに話題になった、ヘルヴェッヘの革新的で、尚且つ美しい演奏ー。

Bach - St. Matthew Passion (Bostridge/Selig/Rubens/Scholl/G醇вa/Henschel/Herreweghe).




評判は左程ですが、結構面白いブリュッヘンの演奏ー(タダ、流石に、このエヴァンゲリストの声には違和感を感じます)。

J.S. Bach - St. Matthew Passion BWV 244 (1998)




そして、前から聴きたいと思ってゐた、そんなに有名ではない人たちの演奏ー。
(ネルソンといふ指揮者と、パリ室内管弦楽団、とふことでした。オックスフォードなんたらといふ合唱団が、皆若い方ばかりで、それゆゑの清冽な声が素敵でした)

Bach: (1/15) Matth醇Bus Passion, sacred oratorio, BWV 244 | John Nelson