やまがた好日抄

低く暮らし、高く想ふ(byワーズワース)! 
山形の魅力や、日々の関心事を勝手気まま?に…。

インバルの『復活』

2007-05-11 | 音楽を
     

先日、月山道を走った時の車内の音は、インバルのマーラーの『復活』、でした。

グスタヴ・マーラーの前半の交響曲は、自然の姿を曲想に取り込んだものが多い。
それは、具体的な鳥の鳴声であったり、抽象的な壮大さであったりー。
風光明媚な場所にあったといふ彼のアトリエの前で、マーラーは弟子に、”目の前の景色は、すべて、私の第三番の交響曲に取り込んだよ”と云ったとかいふエピソードが物語るやうにー。

第二番の『復活』もまた、深い雪の果てに命を再生させてゐた月山の姿を見ながら聴くと、その音楽の有機性に感動する。
マーラーが三十代後半に、絶対の自身をもって作曲した、破天荒なまでの音の連なりが、峰々に吸い込まれる。


エリアフ・インバル指揮/フランクフルト放送交響楽団による1985年の録音。
この組み合はせによる、まさに絶頂期の録音です。
たった二日間で、この長大な曲を録音してゐます。
そのせゐか、とても演奏に一貫性が感じられる。

そのころは、マーラーブームのピークだったでせうか。
クラウディオ・アバドによる、精密だけれども、いまひとつ熱が伝はらない一連の録音の後に、インバルの精緻で、熱情的なマーラーの録音をすべて聴きました。
小生は、5番あたりまでの録音がすきです。


実演でのインバルによるマーラーの『復活』は、二度聴いてゐます。
都響への客演、そして、手兵のフランクフルト放送交響楽団とのものです。
17、8年前だったでせうか。サントリーホールでした。
演奏時間も90分を超えての熱演でした。ソリストの声がとてもよかった記憶が残ってゐます。
フランクフルトを去って、大きなポストに就いた話も耳にしませんが、その後のインバルは、どうしてゐるのだらうか?