rakitarouのきままな日常

人間様の虐待で小猫の時に隻眼になったrakitarouの名を借りて政治・医療・歴史その他人間界のもやもやを語ります。

新しい資本主義とは何か

2021-12-20 19:22:20 | 政治

衆院選で善戦したとされる岸田政権は中核的スローガンに「新しい資本主義」を掲げて、公益資本主義に基づく体制づくりを「新しい資本主義実現会議」などに託し、模索し始めています。「公益資本主義」とはコクヨの創業者黒田善太郎氏の孫で内閣府参与などされた原丈人氏や大河で話題の渋澤栄一の玄孫にあたる渋澤健氏などが提唱する株価や利益第一の資本主義を改め、社会における役割を重視する資本主義であり世界のSDGsの流れに沿い、短期投資やヘッジファンドを規制するという内容です(雑誌選択2021年12月号72ページ{新しい資本主義に騙されるな}より)。以前ブログでも紹介したNHKBS「欲望の資本主義―特別編」でも紹介した、社会における目的を重視した会社経営や宇沢弘文氏の社会共通資本を生かす資本主義、或いは顧客目線を大事にする日本式経営につながる路線で一見大変結構な事のようにも感じます。しかしそのような一面も見出す事はできるかも知れませんが、「新しい資本主義の本質」とはそこではないと私は思います。そこでざっくりとした内容ですが、私が想像する新しい資本主義の姿を略図に示したいと思います。

 

貨幣のない「デジタル資本主義」こそが「新しい資本主義」の本質

 

「キャッシュレス社会の推進」が叫ばれて久しいのは周知のとおりですが、日本は紙幣・貨幣の信用が大きく今でもキャッシュレス決済は日常経済活動の20%程度と言われます。私も数万円以上の買い物やネット通販以外は未だにキャッシュで決済が普通であり、スマホやカードを使うことはありません(必要性を感じない)。細かな売り買いに自らのプライバシーを晒さない気軽さというのは失わないと気が付かないものかも知れません。外国でもちょっとした飲み食いやボーイさんにチップを払う習慣がデジタルになったらさぞや面倒だろうと思います。路上生活者やストリートミュージシャンにも心づけは〇〇ペイで課金というのは何だか嫌な気がします。しかし中国では政府発行の「デジタル人民元」が通用するようになり、自国通貨の信用がなく「米ドル」が流通している国々では「ビットコイン」を正式な通貨として扱うなど、世界は着々と貨幣紙幣をなくす方向に進んでいると言えます。自-国通貨に信用がある日本とドイツはキャッシュレス決済が進んでいませんが、中国や韓国は80-90%が〇〇ペイなど資金移動業者を介しての決済になってきているようです。

 

紙幣・貨幣に名札を付けろ

図に示す様に、従来の資本主義においては、一般社会で資本家が銀行から金を借りて経済活動を行い、価値を増やして利子を付けて返済し、実体経済が拡大して行きます。中央銀行は経済の状態を見ながら必要な紙幣を印刷して債権として市中銀行に貸付け、利子率を調節して経済のかじ取りをします。

学校で勉強する基本的な理解ではこうなりますが、資本主義が発達し、世界全体が資本主義に組み込まれて、行き詰ってきたのが現在の姿であり、図の様に政府が直接介入して「QE」とか「無限の金融緩和」とかありえない景気刺激策を続けてやっと株価を維持して実体経済を維持しているのが今の姿で、大量に刷り続ける紙幣は何故か一方通行でTax havenに塩漬けにされて蓄積されてゆき、実体経済と関係ない所で行き場のない大量の資金が唸りを上げているのが現在の資本主義の姿であると思います。ならば大量に刷り散らかした金全てに名札を付けて塩漬けにならない様に経済を回し続けたらどうか、というのは何となく理解できます。中国が目指すデジタル人民元による経済統治は、黒社会や贈賄、不正送金などをなくし、14億国民全てが富む社会にする、という習近平の目論みを達する方策としては有効な手段に思います。金の動き全てに「名札」が付いているのですから、不正蓄財はできません。究極の社会主義的管理資本主義と言えるかも知れません。

「良い悪い」の倫理的判断は別として、今世界が向かっている「新しい資本主義」とはデジタル管理資本主義ではないかと思います。多分後戻りはできない所まで既に来ているように思います。マネーロンダリングは全ての経済活動に名札が付くのでできませんが、他人に成りすます事で、他人名義で悪事は可能(架空の人物を創造したり、死人を生きた人として活動させれば)でしょう。そういった闇ビジネスは盛んになるかもしれません。こういった社会を想定させる参考文献としてNHK出版655 堤美果 著 2021年「デジタル・ファシズム」日本の資産と主権が消える、祥伝社 副島隆彦 著 2021年「コロナ対策経済で大不況に突入する社会」がお勧めです。

コメント (4)
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