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rakitarouのきままな日常

人間の虐待で隻眼になったrakitarouの名を借りて人間界のモヤモヤを語ります。

欲望の資本主義2022感想

2022-01-11 17:35:54 | その他

欲望の資本主義2022 成長と分配のジレンマを超えて

初回放送日: 2022年1月1日

やめられない止まらない欲望の資本主義。2017年から恒例新春巻頭言。成長、分配、生産性、循環。議論百出の中どこへ向かう?世界の知性と考える異色教養ドキュメント。

困窮者の救済が議論される一方で金融市場は世界的な緩和で潤い、K字と呼ばれる二極化の中叫ばれる生産性向上…。歪な状況の打開策は?人的資本への投資を進めるスウェーデン、循環型経済を試みるオランダなど取材。共産主義の苦い記憶から資本主義内での改革を語るチェコのセドラチェクと脱成長を主張するマルクス経済学者・斎藤幸平が徹底的に議論。ジム・ロジャーズからバルファキス、ラワースまで、資本主義の本質に切り込む。

(以上NHKホームページから)

 


毎回各界の優れた研究者達を迎えて彷徨える資本主義の今後の行方を探るシリーズで今回のテーマは「成長と分配」という新自由主義的資本主義と相いれない課題にどう向き合うかを中心に話が進みます。それぞれの章のテーマとrakitarouがまとめた内容と感想を備忘録的に記します。

 

第一章 K字の果ての歪な市場

コロナ後の経済回復は景気の良い専門領域と回復しないその他の2極のK字型に分断される。回復しない側に手厚い分配を行う事は成功につながるか。

・ルチル・シャルマ(グローバルストラテジスト) むやみな分配はゾンビ企業を産むのみであり、生産性に即した適切な投資が政府にも求められる。

・マシュー・クレイン(経済ジャーナリスト) グローバリズムは国家間の対立でなく階層間の対立(富者と貧者)である。企業の留保を止めさせ、賃金を挙げよ。

現状では、政府が行うケインズ政策は富者にとっての社会主義であり貧者にとっては単に資本主義の一環にすぎない。

 

第二章 コロナが生んだZ世代投資家

上記の世相を見て、大学生たち(Z世代)が単なる労働者でなくプチ投資家として役割をにないつつある。

 

第三章 最後のディーラーの賭け

・ペリー・メーリング(ボストン大学教授) 現在、危機が起こると中央銀行(FRB)が介入して株価を支えてしまう。投資家はFRBに期待し、リスクを忘れてしまうが、バタフライ効果(どんな小さな揺らぎもいずれ大きな嵐になる)で必ずしっぺ返しが来る。いつ来るかは賭けの様な物。

 

第四章 反復する半世紀前の夢

ZEDE(Zone for Employment and Economic Development雇用経済特区)の活用。

ケイト・ラワース(オックスフォード大学)のドーナッツモデル経済(下図)アムステルダムがモデル都市として試行中。成長を重視せず、江戸時代の日本の様に限られた循環型の経済の中で暮らしてゆくという思想。

ラワース氏のサイトから引用、緑のドーナツの外側は地球環境破壊につながる因子となる

 

第五章 気候危機は資本主義のしわざ?

斎藤幸平(大阪大学) 金満資本主義が環境破壊を招き、生産性に関わらず、労働者は長時間労働から解放されないなら、再度社会主義を志向する動きも当然では?

 

第六章 公共善のパラドックス

トーマス・セドラチェク(チェコ経済学者) 歴史では社会主義諸国の方が環境破壊に無関心であった。望ましい未来は社会主義でなく資本主義の中に見出すべき。

 

第七章 競争x福祉 = 生産性?

アンダース・ボルグ(スェーデン元財務相) 国として同一労働同一賃金(Rehn-Meidner model)を義務付け、個人には高福祉、企業には競争を強いる事で社会全体の生産性向上にスウェーデンは成功した。

 

第八章 コモンズの復活か悲劇か

共有財(コモンズ)を復活させる事が豊かさにつながる。(シュンペーター)

あらゆるものが一部の顔のない個人の所有になってしまうと社会は豊かさを失う。

 

第九章 市場と民主主義の再生

ヤニス・バルファキス(前ギリシャ財務相) デジタル共有財産を設けるべき。ビッグテックを民主化(civilization)すべきだ。所有は顔の見える形に。(ある意味デジタル管理資本主義の事を言っているかも)

 

最終章 成長と分配の狭間で

資本主義(成長)と社会主義(分配)の調整を民主主義がコントロールする必要があるが、その望ましい姿はまだ模索している最中と言える。現在がその方向性を決める分岐点だろう。

 

今回登場したいくつかのモデルと将来の漠然とした姿には以前拙ブログ「新しい資本主義とは何か」で示した内容もおぼろげながら伺えるのではないかと感じました。


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2 コメント

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韓国の大統領選挙 (宗純)
2022-01-15 13:49:51
昔からの竹島領有、従軍慰安婦や徴用工など第二次世界大戦の戦後処理がもたついて険悪になっている日韓両国関係ですが、色々な問題で世界中で日本に一番近いのが、やはり一番近い距離の韓国だった。
首都一極集中と農村など田舎の過疎化。少子高齢化や学歴偏重、過激な受験戦争などは日本よりも韓国の方がもっと深刻で、現在の文大統領支持率低下の最大原因とは人口の半分以上が集まるソウルの住宅価格が数年で何倍にもなり結婚しても家が持てない。
1997年の消費税5%で深刻なデフレの日本とは大違いで、間違いなく地価がバブルに陥っている。

ところが、何をやっても韓国のインフレが止められない。一人当たりのGDP値がとうとう韓国が日本を上回ったが、これは当然な結果。5%の金利で貯金しても20年で2倍になります。日本はゼロ。
それでは致命的な日韓の違いとは何か???
韓国にある秀吉の朝鮮出兵時の倭城の遺跡の特徴は熊本城のように地震対策でしているが傾斜しているが朝鮮の城は垂直に築かれている。世界で唯一デフレになった日本人だけの特徴とは金が溜まっても「もしもの大災害」を考えて使わずにため込む一方。これでは必ずデフレになる。
資本主義の限界ですが、これはデフレの日本とインフレの世界とでは別々に考えた方が良いでしょう。

去年11月に大阪で巨大倉庫が5日間も燃えたが、これが19歳の派遣社員の放火だったらしいが、今後は日本でも世界基準の同様な事件が続発すると思われます。悪いところだけが新自由主義の覇権労働解禁で世界基準になってきています
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いびつな日本化 (rakitarou)
2022-01-15 14:58:14
人生観や人種的な文化歴史の違いから、同一な物にはならないと思いますが、セドラチェクやラワースの考え方は古来の日本的なものを良しとする思想に見えます。本当はもっと日本から世界に発信して行くエネルギーがあっても良いと思うのですが。
リーマンが弾けた時も結局世界は以前批判した日本のやり方を真似て切り抜けた訳ですし。
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