法的な医療制度と医療の質は異なる
一日10万人近い感染検査陽性者が出ているものの重傷者や死者はあまり増加しない新型コロナ感染症ですが、「2類感染症扱いから5類に早く変えよ」という声に「普通の風邪並みに扱われると受ける医療の質が落ちるから嫌だ」と勘違いしている人が沢山いるように感じます。我々医療者は「医療制度」として「2類感染症として扱う事は無理があるから変えるべき」という話に「新型コロナは普通の風邪とは違う」という反論をする患者さんがいて、どうも話が噛み合わないと思っていたのですが、「医療制度の違いと医療の質は違う話」であるという基本を理解していないのだなということが解ってきました。法的な扱いが変わっても受ける医療の質は変わらない、むしろ「医療を受ける敷居が下がって臨機応変の対応が可能になり質があがる」という事が理解されていない様です。
図に結核やまれながら公衆衛生上重要或いは重篤とされる2類感染症の扱いについて示します。患者さんは医療機関を受診して診断がついた時点で保健所に届けられて治療の指示を保健所や県の衛生局から指示されて県が指定した「感染症指定病院」(県から補助金を受けて設備を常備している。せいぜい20床程度)で治療を受けます。通常は週10名程度の患者さんを処理すれば済む制度設計です。新型コロナ感染症も初期の各県数十名程度の患者発生時にはこの制度で十分機能していました。
しかし一日百名、千名を超える状態、しかも軽傷や無症状の種々の病態で沢山の患者が溢れる新型コロナ感染症のまん延期になると各部署増員しても追いつかなくなり、機能不全を起こし始めます。県には普段存在しない各病院と直結の「入院調整本部」が置かれる所もあります。入院施設も感染症指定病院では足らなくなり、一般の市中病院にコロナ専用病棟を県の命令で設定させて一般病床を割く形で対応することになりました。その結果前のブログで説明した様に一般病床の減少で救急医療が逼迫している結果になりました。各病院20床から50床程度のコロナ専用病床を確保するために、県は患者がいなくても1床あたり一日6万円程度の空床保証金を病院に支払います。ICUなどの重症病床の確保(各病院1-2床)には空床でも一日30万円が支払われます。行政は多くの病床を確保するほど、県民から「頼りになる」「安心」と褒められ、病院にとっても患者がいなくてもかなりの収入になります(税金だし)。
5類扱いになると、治療に際して県や保健所が介入するシステムはなくなります。隔離施設は公共の費用負担で残るかも知れませんが、自宅療養で十分という話もあります。患者は必要に応じてどの医療機関で治療を受けても構いませんし、要すれば開業医から総合病院などへ通常の経路で紹介入院が可能になります。病院も4-6床毎の部屋単位で感染症部屋を設ければ良く、現在の様にコロナ以外の患者が入院できない無駄病床を作る必要がなくなります。結果救急医療を含む一般の医療もスムーズに行えるようになり、本来の医療に戻ります。どちらが本当に国民のためになるかは一目瞭然だと思うのですが。
診療報酬体系の変化
新型コロナ感染症で入院治療を行った場合も、他の合併症を有して一般的医療も行うので、全ての医療費は保険診療に基づく診療報酬体系で計算されて、7割は保険者(健康保険組合)に請求されて残りを2類感染症(に関わる医療)として国に請求します。5類になると、3割負担の人は3割が他の医療と同様に自己負担になります。季節性インフルエンザには自己負担分の金を払うけど、新型コロナ感染症には自己負担したくないという人がいるでしょうか。ワクチンも当然自己負担になります。訳の分からない2年前に作った遺伝子ワクチン、打っても感染するし、重症化予防も怪しい、後遺症は残るかもね(新型コロナウイルスの毒性の源となるスパイク蛋白の遺伝子を打ち込み、自己の体内で作らせるワクチンだから)、というワクチンに自己負担して打つ人がどれだけいるか疑問です。