rakitarouのきままな日常

人間様の虐待で小猫の時に隻眼になったrakitarouの名を借りて政治・医療・歴史その他人間界のもやもやを語ります。

司法は医療事故よりも検死を重視せよ

2009-02-08 17:50:24 | 社会
会員制雑誌「選択」の2月号に「無きに等しい検死制度」(見逃される殺人事件)という記事がありました。日本で届けられる異常死は年間(07年)15万5千件で、そのうち全国に160名しかいない検死官が検死を行うのが11%、司法解剖を行う医師は全国の大学や監察医などに120名ほどしかいないので、司法解剖に付されるのは5千9百件で全異常死体の3.8%にすぎないそうです。事件性のない病死として片づけられた異常死体には、後になって保険金殺人がからんでいたり、別の殺人犯が殺害したことが判明することもあり、実際にはかなり多くの事件が見逃されている可能性があるということです。
英米では異常死の50%が解剖され、スエーデンでは100%解剖されるそうです。

私も地方に出ていた際に、柳葉包丁で心臓を突いて自死した若者の検死を頼まれて警察の方とやったことがありますが、凶器と死因が直結していることを証明しただけで簡単に済んでしまい、こんなものかと思った経験があります。また当直をしていると部屋や風呂で亡くなっていた御年寄りが運ばれてくることがあります。警察に届けても「事件性なしですね」でそのまま検案書を書いて終了になります。どうしても死因が解らない時には死後全身CTを撮って脳出血や動脈瘤の破裂を見つけることもあります。

先日家人が外出している間に階段の手摺りで首を吊って自死した人が運ばれてきて蘇生にも反応せず死亡確認をしたのですが、警察に通報した時の第一声が「死因は溢死で問題ないですよね。」だったので面食らってしまいました。「消防や家人から伝えられた状況と現状からは溢死ですが」と言う他ありません。さすがに警官でなく検死官が来て写真を撮ったり、種々の状況を調べて帰りましたが、解剖はされませんでした。

外国の犯罪ドラマなどでは必ず監察医の司法解剖から犯罪の鍵となる証拠や事故を偽装した死因が見つかって捜査が進展してゆくように描かれています。現実の犯罪では全てそのようにうまく見つかるとも思えませんが、日本では現役の大臣が変死しても早々に自殺と断定されてしまう国柄です。以前日本の殺人事件の検挙率が高かったのは日本の警察が優秀だからではなく、犯人が日本社会の中で逃げ切れなかったり自主したりする率が高いからであって、黄門様が印籠を見せるだけで悪人が平伏するような、外国ではありえない素地が日本人にあるからだという説があります。しかし近年では中国朝鮮系の悪質外国人による凶悪犯罪も増加して殺人事件の手口も悪質になり検挙率も低下していることは事実です。1年ほど前、実母の家が白昼空き巣に入られました。警察の調べでは「これは4人組の中国人窃盗団によるもので、今日市内で2件目です」とのこと。誰も怪我せずよかったのですが、外国人犯罪はもう身近なものです。司法は医療行為の結果が悪かったことを犯罪化することよりも、まず異常死に隠された真の犯罪を見つけ出すことを重要視すべきではないでしょうか。どちらが日本社会に寄与貢献するかは明らかだと思いますが。

ちなみに日本では病理医が不足しているのと同様、法医・監察医も非常に少ない状態です。地味な上に給与も低いから成り手が少ないのも当然と思います。しかし救急や小児科に比べると勤務時間の拘束はあまりきつくありません。十分な手当てが保証されていれば最近増加している女性医師にとっても魅力ある職場になるように思うのですが。外国のドラマでは非白人系の女性医師が監察医をしていたりする設定を見かけるのですが、実際もそうなのかも知れません。
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