「インバウンド・マーケティング」については、すでにハリガンとシャアによる解説書があるが、昨年秋刊行された高広伯彦氏の本は、さらにわかりやすい。たとえばインバウンド・マーケティングの前史が詳しく書かれており、これまでのマーケティングの流れにおける位置づけが概観できる。
インバウンド・マーケティングのエッセンスは一言でいうと Get Found(見つけてもらうこと)だが、別の表現を本書から拾うと、Make Your Marketing Lovable になる。好かれるマーケティングを目指すということは、裏返せば、既存のマーケティングが好かれていない、ということだ。
既存のマーケティング=アウトバウンド・マーケティングは、売る側の都合で潜在顧客にアプローチし、日常生活に割り込んでいく。そこで提供されるメッセージは、人々にとって必然性がない情報だ。だから好かれない。インバウンドは逆に、買う側が訪れる。そこには必然性がある。
この本の後半は、インバウンド・マーケティングを実践するための手引書になっている。細部まで理解したという自信はないが、本書の基本的な主張については、同意できる部分が多い。マーケティングが進化を重ねた末に、現在どういうステージにあるかを窺い知ることができる。
一方、マーケティング・サイエンスに、本書が描くような顧客行動を的確に捉えたモデルがあるか・・・ぼくが不勉強で知らないだけならいいが、どうもそこには大きなギャップがあるような気がする。もちろんそれは、自分の研究にもいえること。その意味で研究者にもお薦めの本だ。
インバウンド・マーケティングのエッセンスは一言でいうと Get Found(見つけてもらうこと)だが、別の表現を本書から拾うと、Make Your Marketing Lovable になる。好かれるマーケティングを目指すということは、裏返せば、既存のマーケティングが好かれていない、ということだ。
インバウンドマーケティング | |
高広伯彦 | |
ソフトバンククリエイティブ |
既存のマーケティング=アウトバウンド・マーケティングは、売る側の都合で潜在顧客にアプローチし、日常生活に割り込んでいく。そこで提供されるメッセージは、人々にとって必然性がない情報だ。だから好かれない。インバウンドは逆に、買う側が訪れる。そこには必然性がある。
この本の後半は、インバウンド・マーケティングを実践するための手引書になっている。細部まで理解したという自信はないが、本書の基本的な主張については、同意できる部分が多い。マーケティングが進化を重ねた末に、現在どういうステージにあるかを窺い知ることができる。
一方、マーケティング・サイエンスに、本書が描くような顧客行動を的確に捉えたモデルがあるか・・・ぼくが不勉強で知らないだけならいいが、どうもそこには大きなギャップがあるような気がする。もちろんそれは、自分の研究にもいえること。その意味で研究者にもお薦めの本だ。