HARRY’S ROCK AND ROLL VILLAGE

お気に入り音楽の紹介と戯言

NATIONAL TREASURES

2015-08-09 09:25:14 | ROCK

掲載写真はマニック・ストリート・プリーチャーズのコンプリート・シングル集
「NATIONAL TREASURES」。2枚のCDに38曲が収録され、1枚のDVDに
38曲のPVとオルタナティブ・テイク3曲映像が収録されている。アルバム収集とは
別個の意味合いで、こういったシングル集というのは重宝されるし、140分超えの
時間でPVをまとめて見ることができるのも有り難い。

マニックスのメジャー・デビューは92年。私はとっくに働いていて尚且つCD販売の
仕事も辞めていたので新人バンドや大きな動きには疎かったのだが、このバンドの
メジャー・デビュー時の喧騒は何故か覚えている。

全世界で1位になるアルバムを発表して解散する、という大仰なものであったのだが
個人的には「何言ってやがる。」という反感が強かった。英国で雑誌記者ともめて
ギタリストがカミソリで自らの腕に「4 REAL」と刻んだ、なんてことも報道され
音楽とは関係ないところで話題が拡がったことも気分が悪かった。もし、自分が
ロックを聴き始めた頃の10代半ばだったら、反抗のシンボルとして共感したかも、
なんてことを思ったのも事実だが。

その後のバンドは数奇な道を辿る。デビュー盤はそれほど受けず、解散は撤回され
数年後にギタリストが失踪し生死不明のまま08年に裁判所による死亡宣告が発せられる。
バンドは生存を信じる家族のために今も印税を配分している。

数奇な運命はともかく、このバンドの在り方はクラッシュに近いかもと思えた時
私個人の中で初期に抱いたわだかまりは消えた。ウェールズ出身だからなんてことは
関係ないだろうが、90年代に英国を席巻したブリット・ポップの流れに入らなかった
ことが今思えば格好いいし、明るいだけでない、闇の深淵を彷徨うような音や歌詞を
提示することも一筋縄でいかないバンドであることを知らしめるように思える。

メンバーが好きな街に東京を挙げることからわかるように、初期のPVに日本撮影の
物が幾つかある。客席で歌う若い女性が何人も写されるのだが、英語の歌詞を覚え
ライブでバンドの演奏に合わせて一緒に歌う彼女たちの情熱には敵わない。
爺の私はせいぜい、「あっ、シャンプーが出ているPVがあるんだ。」なんてことに
気がいくのが関の山かも。(笑)

何れにせよ、11年に出たこの3枚組はコアなファンにも入門者にも対応できる
優れた編集盤であるのは間違いない。DVD付きの物の入手が難しくなっている
のが残念であるが。

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STILL

2015-08-08 20:01:14 | ROCK

先週の土曜日は、ひたちなかで大勢の人に混じって猛暑の中、野外コンサートに参加
していたわけだが、今日参加した人たちは幾分涼しくて(と言っても暑いだろうが)
よかったのではないだろうか。

で、今日の私は地元の花火大会を楽しんでいる。昨年の花火大会は私が参戦したROCK
IN JAPANの日と重なったのだが悪天候で順延となり、結果見ることができた。
今年は私がROCK IN JAPANに参戦する日と日程が被らないことがあらかじめ
わかっていたので、枝豆をつまみにビールを飲みながらマンションから花火を眺めている。

BGMはリチャード・トンプスンの新作「STILL」。今作はウィルコのジェフ・トゥイーディが
自らプロデュースを申し出た盤で話題を呼んでいた(はず)のだが、
これが実に聴き応えのあるアルバムとなって登場した。

リチャード以外の何物でもないエレクトリック・ギターのトーンとフレーズが気持ちよく
鳴り響く様を聴くのは快楽以外の何物でもない。そのうえ、要所要所に配された
アコースティック主体の曲がいいアクセントになっていて全く飽きさせない。

アルバム最後の曲は『GUITAR JAMBOREE』ならぬ、『GUITAR HEROES』。
ジャンゴ・ラインハルトやジェームス・バートン、ハンク・マーヴィンらの
フレーズを聴かせる楽しい曲。

DX盤は2枚組でリチャード自身がプロデュースした5曲収録の「VARIATIONS EP」
と題されたCDが添付されている。こちらも、いつものリチャード節炸裂でここは
この2枚組を手に入れるしかない、という感じである。

紙製ジャケを開くとストラトキャスターが胸に突き刺さって倒れているリチャードの
写真に驚く。これは何を意味しているのだろう。まさかこれでTHE ENDってことは
ないだろうが、ドキっとさせる写真である。

ああ、なんだか花火の火薬の匂いが風に吹かれてここまで来てるぜ。
なんて思ったら、それは蚊取り線香が燻っている匂いだったりして。(笑)

夏は続く・・・。


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BLOOD MOON

2015-08-04 21:28:40 | 日本のロック・ポップス

佐野元春のデビュー35周年を記念するのに相応しい傑作と言って間違いでない
であろう、アルバム「BLOOD MOON」。コヨーテ・バンドとしては3作目の今作は
前作「ZOOEY」で到達した「高み」を更に一段高い処に持っていった。

まず、元春自身の歌詞が非常に良い。男女の生活や恋愛の機微を描くのはロックや
ポップスの常套であるが、ここで歌われる事象は最早大人というには歳をとりすぎた
私にも自然に受け入れられるものである。

また、ミュージシャンとして或いは一人の人間として表明すべきことを短絡的な
言葉でなく、抽象的とか具体的でないとの誹りを軽く跳ね除けるべく選ばれた言葉で
紡ぐことで、今の具体的事象に当てはまり尚且つ将来も続くであろう未来の不安や
未来の不誠実な出来事に対応できるような歌として完成させた。

そして何よりも今作の楽曲はどれもメロディーが美しくリズムが生き生きしている。
選び抜かれた言葉故に、今まで以上に琴線に触れるようなメロディーで届けてやろう
なんて意図があったなら、これこそロックじゃないか。

昔よく口ずさんだメロディー。その懐かしい数々の曲に引けを取らない旋律が、
何度も今作の曲を再生させ、結果として何度も元春の選んだ言葉に触れ
何度も現実を考えさせる。

ニール・ヤングの新譜はメッセージ性の強いものであったが、対象があまりに具体的
だと、メッセージは簡単に伝わるがポピュラー・ミュージックとして長く生き残るか
どうかという、ミュージシャンの意図とは違うつまらないことを考えてしまう私が
いる。それはそれとして、元春の今作が長く聴き続けられるのは間違いないだろう。

そうでなければいけないし、そうあるべきだと強く思う。

コメント (2)
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RIJF2015

2015-08-02 20:09:55 | DAY BY DAY

今年も行ってきました、ROCK IN JAPAN FES. 2015。参加するのは8月1日の
一日のみ。前回もそうであったが、我々にとっては友人と飲んでダラダラする単なる
爺の集会である。(笑)ひと夏の思い出なんていう、ティーンエイジャーが胸を
ときめかすようなものではない。しかし、ただひたすら飲んで汗をかくその現場に
生演奏があるというのは贅沢な話ではある。

今回は早目に着いたのでテントの設営も8時半には完了。暑さのせいもあって、
早くも飲み会のスタートである。(笑)運転手だけは午前中で酒飲み終了となるのだが
私を含む他の3人は遠慮なく飲む(笑)わけで、順番にビールやハイボールを
買い出しに行く。いきなりハングリー・フィールドへ繰り出し、ありとあらゆる
肉類を買ってきてテーブルに並べると、私たちが来たのは音楽フェスではなく、
肉フェスではないのか?と笑いが出るほどで、ささやかな宴がここに始まる。

10時に登場するスキャンダルを見に行こうかな、なんて当初は思っていたのだが
暑さのせいもあって既にかなり出来上がり(笑)、更にテントを設営した場所から
一番遠いステージなので腰が重く、結果、更に飲むことに。(笑)

それでも後輩が「このバンドは見ときましょう。」というので、12時半に
一番遠いステージに移動。なるほどね、元気なバンドで若い衆に受けるのがわかる。
歌詞が日本語だと更にいいのだけど。

最近のバンドの映像やアー写(笑)、CDのジャケットを見て思うことは
太っていたり男前でなかったり、つまりは顔ができていないと思うことが多い。
せっかくのロック・バンドなのに、絵的に「夢」や「憧れ」を感じることが
見てくれから出来ないのは損だなあと余計なことを思ったり。ま、それは10年
以上前から思っていることで、ロックはそれだけ身近で「等身大」になってきた
ということなのだろう。あっ、これは先に書いたバンドのことを指しているのでは
ないのでお間違いなく。(笑)

私の最大の目当てはエレファント・カシマシであった。デビュー時から好きな
バンドで紆余曲折あったものの、とりあえず全てのアルバムは揃えている。
今回はフェス用の短いセット・リストということもあろうが、私の好きな曲を
多く聴くことができて嬉しかった。

一発目が『おはよう、こんにちは』だったのに度胆を抜かれ、今でも気分が
高揚する『ガストロンジャー』や『ファイティングマン』を演奏されると酔いも
吹っ飛び全て汗になってしまった。(笑)演奏の上手い下手ではなく、
初めてスタジオに入って荒々しく音を出した、あの感覚がこのバンドにはまだ
残っているのかもと思えた時、何だかわからないが勝手に嬉しくなってしまった。

Perfumeの3人は予想通り可愛らしかった。過去に何回もフェスに参加している
後輩は「こんなに人がいるのは初めてかも。」と言ったとおり、物凄い数の人が
集まってきた。去年のきゃりーぱみゅぱみゅも人が多かったが、それ以上である。

個人的には間延びしたステージ進行のように思え、3人の御尊顔を確認し、
満喫したところで中座してビールを飲みに行く。これもフェスならではの楽しみ方。
エネルギーを充電して椎名林檎に備える。

このところ熱心に聴いていなかったので軽い気持ちで臨んだのだが、参りました。
手練れの演奏者たちを従え新旧の曲を歌うその様は、ロック云々の枠を超えた
「芸能」という括りで高く評価されるべきだろうと心底思った。喜怒哀楽と同様に
大事なのがエロスであると常々思っているのだが、彼女はこの5つの表現を
全てさらりとやってのける。実に面白く楽しい時間であった。

メインアクトには全く興味が無かったので、早々にテントを解体して撤収。
昨年もそうだったが、フェスのメインアクトに興味が無いと帰りが楽でよい。
いや、これは嫌味ではなく真面目な話である。事実、遠方から日帰り日程で
来ている人たちはバスや電車の時間を気にしているし、車で参加する私にしても
道路が空いている時間に会場周辺を出られ、高速のSAが混まない時間に晩飯に
ありつけるのだから。それにしても自分の体力の無さを痛感する。

来年の参加は・・・・・。次のミーティング次第か。(笑)

コメント (8)
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