トッド・ラングレンが72年にリリースした傑作「SOMETHING / ANYTHING?」は、
日本においては当初1枚ものに編集されオリジナルとは別ジャケットでリリース(2年
遅れではあったが)されたのは有名な話である。そこで使われたメイクを施したトッドの
写真が派手なこともあってこのジャケットは世界的に人気がある。
この写真がCDで最初に使われたのは10年に日本独自の編集盤としてリリースされた
2枚組「HELLO IT'S ME」(掲載写真右)であった。日本独自ジャケのアルバムに使用された
写真が時を経て再び日本独自編集盤に使用されるのは面白いと思ったものだ。
そして、今年になって遂に74年にリリースされた「HELLO IT'S ME」が当時の仕様で
再発された。日本独自仕様の10曲をこの並びで聴きたければ自分で「SOMETHING /
ANYTHING?」から抜粋して並び替えればいいだけなのだが、やはりこのジャケットが
付いてフィジカルでリリースされると一味違うというものだ。
今なら日本オンリーとかでボーナス・トラックが収録されることはあっても、2枚組は
売りにくいから1枚に編集するなんて所作は受け入れられないだろう。昔の洋楽事情を
垣間見るうえでも、またトッドのメロディー・メイカーとしての冴えを思い知るうえでも
重要な1枚の再発を心から悦びたい。