HARRY’S ROCK AND ROLL VILLAGE

お気に入り音楽の紹介と戯言

FIRE AND SKILL

2015-11-06 21:36:27 | ROCK

掲載写真はジャムの6枚組ライブ盤「FIRE AND SKILL」。先日のグレイトフル・
デッドの30年間での80枚組には及ばないものの、これも同趣向の組み物で
ジャムが活動した77年から82年までの6年間で各年から1公演ずつ選ばれた
ライブ盤である。

若くて熱い。おまけに硬くて太い。いやいや、「音」の話ですよ。(笑)
昔から何枚ものもの写真で見てきた、3人の汗が飛び散るような光景が容易に
脳裏に浮かぶライブ盤である。硬くて太い音の根幹はブルース・フォクストンが
弾くリッケンバッカーのベース音にあるとは思うのだが、ウェラーの歌唱の力強さが
肝なのだなあとも思ったり。

実のところ今聴くと勢いに任せたかのような最初の4年くらいの音は、単調に聞こえる
ところもある。それはカバー曲の解釈にしてもそうだが一本調子な感じがするし
ウェラーの作る曲の起伏が今一つ少ないということもそう感じる一因かもしれない。
しかし、勢いはとてつもなく当時の若者がこれを聴いて燃えたのも想像に難しくない。

今も昔も私が一番好きなジャムのアルバムは「THE GIFT」なのだが、あの盤は明らかに
次のステップへ歩みを進めた盤だろう。ウェラーのソング・ライティングは冴え、
緩急のつけ方も堂に入ったものであった。それはそのまま以降のレコーディングや
ライブの在り方にも変化を促し、結果としてジャムは解散する。

今回のライブ・ボックスを聴くと、たった6年の間にバンドが進化し燃え尽きた様が
よくわかる。他の二人はともかく少なくともポール・ウェラーは・・・。
昔を振り返るのは簡単なようで難しい。間違っても現在鳴らしたい音ではないのだが
それでも何ら恥ずかしいことをしてきていないという自信こそが重要で、それは
その時代があったからこそ今があるという見事な証明に他ならないのだから。

老いさらばえてもやり続ける「哲学」に、短くも燃え尽きる「美学」。
どちらが良いとかいうのではなく、都合がいいのは承知の上だが私にとっては
どちらも格好いい。

再結成しないことを含めてジャムで燃焼しつくした「美学」をこのライブ盤で
改めて了解し、現在もハイ・アベレージな作品を残すことで活動しつづける「哲学」を
今も目の当たりにさせるポール・ウェラーのファンであり続けて良かったと
つくづく思う今宵である。

近日リリース予定のドキュメンタリー(勿論、ロックパラストでのライブも)を
心して待とう。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする