掲載写真は鈴木茂とハックルバックの「1975 LIVE」と題された2枚組CD。
このCDの宣伝文に「急逝した名エンジニアの遺した膨大なテープから、氏の
エンジニア・ワークスを辿っていくシリーズ」とあったので、年代とかを意識も
せずに「凄いテープが出てくるものだなあ。」と勝手に頭の中で高音質のライン
録音のリールから起こした音だとばかり思っていたのだが・・・。
物を手にするとCDの帯に「カセット・テープ・マスター」とある。実際に音を
聴くと「ああ、会場録音か。」と、ちょっと拍子抜けするも、アルバム「BAND
WAGON」が大好きな私にしてみれば、この頃の鈴木茂の演奏を聴くことができる
のなら大歓迎、というわけで2枚のCDを有り難く拝聴した。
とりあえず、音質はブートレグ並みであることは事実であるが、会場録音のテープや
ブートレグを聞きなれた耳には何の問題もないし、それよりも「この音を聴きたい」と
いう熱意のある方にとっては、喜ばれるリリースとなるだろう。
収録されているのは75年4月4日大阪サンケイホールと5月15日京都会館での
演奏。京都会館では4曲のリハーサルも収録されているので、これは誰もが簡単に
立ち合えることができる場面ではないので更に貴重といえる。
ハックルバックのレア音源といえば、08年に出た「鈴木茂ヒストリー・ボックス」に
収録された3月15日の荻窪ロフトでのライブ他を収録した盤がある。思えばあの
箱は6枚組であったが、重複感が強くてレアリティーズの「お宝度合」が薄かった
ように取られる風向きがあったが、今回は全編未発表音源というのが本当に嬉しい。
因みに4月4日の「ベイ・エリア・コンサート」にはハックルバック以外にも
多くのミュージシャンが出演している。手元にある音源から備忘録を兼ねて
最後に曲目を記しておく。
シュガーベイブ
01 ココナツ・ホリデー
02 ダウン・タウン
03 ためいきばかり
04 風の世界
05 約束
06 こぬか雨
07 YUMIN '
08 今日はなんだか
09 ( ENDING )
メンバーチェンジがあって伊藤銀次、上原裕が加わったことが客席に告げられる。
最後の曲は1分足らずの短い曲で正式な曲名があるのかどうかわかりません。
ティンパンアレイ
01 夢を追って
02 アップル・ノッカー
03 五月雨のスケッチ
04 夕方ラブ
05 ハリケーン・ドロシー
06 バイバイ・ベイビー
07 しらけちまうぜ
最後のMCで終わりを告げられて客席から「え~っ」という声があがるのだが
確かにもっと聴きたいと思わせる尺の短さである。
大瀧詠一
01 論寒牛男
02 福生ストラット
03 三文ソング
04 お先にどうぞ
05 ハンド・クラッピング・ルンバ~ドレッサー
これがセット・リストの全てかどうかわからないのだが、これも尺が短く
たった15分の音源である。
先に書いたが、今回は「シリーズ」とある。続編も期待するのだがカセット音源が
続くようなら、現役ミュージシャンでアーカイブ価値よりも音質を重視するような人の
リリースは許諾が取れず難しいのかなといらぬ心配をしたり。とりあえず、期待して
次を待とう。
それにしても八月の匂いというのを感じることもなく、九月も終わろうとしている。
十月の匂いを感じることが出来ればいいなと思いつつ本日最初のビールを飲む
ことにする。