90年代前半から半ば頃までの間、日本の音楽シーンの中でひとつの大きな流れを
つくったのが所謂「渋谷系」と呼ばれた一群。そういったシーンを熱心に追いかけた
わけではないのだが、彼らの残した貢献の一つに「アナログ盤の復権」というのが
あったと思う。
古くさいLPを掘り起こすことが「格好いい」というイメージを振りまいて(笑)いたし、自身の
新曲は率先してアナログ7インチや12インチ・シングルでリリース。アルバムを発表する際には
CDとLPを同時発売して、その内容を変えたりする遊び心もあったし。それに「クラブ」や
「DJ」という言葉も一般的になった。最も「DJ」という言葉も「クラブ」という言葉も私が中学生の
頃にイメージしたそれとは大きく意味合いが変わったけど。(笑)
自分が学生の頃には、ロックやジャズのレコードを聴く場として、ロック喫茶やロック・バーにジャズ喫茶という
場所があることは知っていたし、実際にそういうところにも行ったりもした。しかし、まさか
自称一本気なロックンローラーが10代の頃に聴いたら激怒したであろう音楽がもてはやされ、
人が集まる場所でレコードを楽しむような場がある時代になるとは思いもしなかった。愛すべきは90年代か。
新譜以外にも人気のある旧作の7インチ再発が、大手以外のレコード会社で行われるようになったのも
この頃だったように記憶する。
「幻の名盤解放歌集」というCDのシリーズが一部で人気を呼んだが、その中でも人気だった曲
『スナッキーで踊ろう』が再発されたのは95年。なんとなく7インチというのが嬉しくて買ってしまった。
オリジナルなんて見つけることはできないだろうし、あっても高額物件なのは間違いない。
こういうのは最初に見つけた人が偉いのであって、後から情報を与えられて皆と一緒になって欲しがるなら
売り手やせどり屋の思う壺である。掲載写真は再発盤なので、右上に新しい発売元のロゴがあるし、
ジャケットは状態の良くない現物から起こされたために、テープ跡が残った状態で印刷されている。
マニアの方には到底許容し難いブツであろうが、私にはこれで分相応。
再発盤のリリースが無くて、どうしても欲しいブツがあればリリース当時のレコードを探さなければ
ならないのは言うまでもない。値段と折り合うかどうかは、その時の気分や懐具合によるだろうが
私の場合、後から振り返ると必ず「何であんな値段を払ってしまったのか。」ということになる。(笑)
先日書いたこの2枚も、時折そんな気分に苛まれる2枚。(笑)レコード・ストア・デイでリリースされる
7インチは、かつての名曲の復刻盤が多いのだが、我が国でもこんな2枚が再発されたら、受けると
思うのだけど、そんなことを考えるヤツに生産的な人間はいない。お、俺か・・・。(笑)
辰兄ィの映画「不良番長」シリーズは68年から72年までの間に16本作られた。たった5年の間に
16本なのだから、悪く言えば粗製濫造、良く言えは実に精力的だったのだなと思わずにはいられない。
72年の「不良番長一網打尽」の中で辰兄ィと安岡力也達が「ウッシッシ節」を歌い踊るシーンが
あるのだが、これがえらく格好悪いというか格好よくて(笑)私は大好きだ。
映画を見た後だと、本来はB面扱いの「ウッシッシ節」が気に入ったので今回の掲載写真は見開きリア・
ジャケットにした。(笑)そういえば、昨年カラオケで「シンボル・ロック」を歌った。まさかカラオケに
そんな曲があるとは思わなかったのだが、野郎四人で行ったから歌えたのであって女性がいたら
歌うことはなかっただろうな。
酒を飲みながら、くだらない事を回想しつつシングル盤を聴く時間は至福の時間だ。
「なんつっかなぁ、マスター。東京っていい街だな。」
あっ、これは左とんぺいか・・・・。(笑)