HARRY’S ROCK AND ROLL VILLAGE

お気に入り音楽の紹介と戯言

人文字

2012-10-14 12:19:16 | DAY BY DAY

数年前にブートレグで登場したボウイ様の「1980 FLOOR SHOW OUTTAKE」は
素晴らしい発掘であった。トロッグスの出演はともかく、『TIME』『1984 / DODO』
『THE JEAN GENIE』といった曲を何テイクも見ることができたのだから。

更に面白かったのは、番組のオープニングの「BOWIE」という文字をダンサーたちが
形作る様のリハーサルもふんだんに見られたことだ。人文字という発想は
お手軽で馬鹿げているように思える時もあるが、バッチリきまればそれなりに絵になる
もので、私は嫌いではない。

掲載写真はブーガルー・ジョー・ジョーンズが73年にリリースしたアルバム「BLACK
WHIP」。プレステッジに残した最後のアルバムでもある。エルトン・ジョン、レオン・
ラッセル、ポール・マッカートニーの曲を演奏しているのが、ベタと言えばベタなのだが
ロック者には、それが取っ付きやすい要素でもある。

カバー曲はスローな曲を選んでいるが、自前の曲はスピード感溢れるファンクで
本当の聴き処はそこにある。徒にギターをシングル・ノートで弾きまくるのではなく
(もちろん早弾きもあるが)カッティングで迫るところが好きだ。

そして、何よりこのジャケットが好きだ。寓話の世界から抜け出したような人形とも人とも
つかない不思議な造詣によって形作られた文字が、実に幻想的である。
それほど数が多くない彼のアルバムの中で、私が「BLACK WHIP」を愛聴するのは
内容の良さもあるが、この盤を棚から取り出した時にジャケットを見て嬉しくなりたいからに
他ならない。

人文字と言われて、忘れてならないのがコレだろう。

  ジェームス・ブラウンが75年にリリースした
その名も「SEX MACHINE TODAY」のジャケットに描かれた、タイトルの「SEX MACHINE」は
白人と黒人の女性の裸像の人文字で描かれている。何故か「h」だけ小文字だけど。(笑)

ここで注目すべきなのは「I」である。後ろ向きの黒人女性が少し腰をかがめているのが
わかるだろうか。この腰のかがめ方が肝なのだ。単に直立している状態では出せない
曲線の色気が漂うこの「I」の文字こそ、この人文字の最重要ポイントである。(笑)
小さくて、この画像ではよくわからないだろうが、白人女性二人で作る「E」は下の女性が
胸を隠しているのに対し、黒人女性二人で作る「E」の下になる女性は胸を隠していない。
何とも芸が細かい。

アルバム自体は自身の有名曲(タイトル曲や『I FEEL GOOD』)を焼きなおしたこともあって、
発売当時の評価はそれほど高くなかったが、ソウル・ファンクを牽引してきた第一人者の自負が
作らせたディスコ・ソウルという視点で見れば、それほど悪いとも思えない。
まあ、これもアルバムを棚から引っ張り出して笑いたい時に聞くのだけれど。

大体、収録された全6曲中、1曲を除いた5曲の冒頭でいちいち「YEAHHHH, SEX MACHINE」と
叫ぶのだから。

コメント
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