ジム・ディッキンスンは、ジョン・スペンサー・ブルース・エクスプロージョンの
曲にも関わっている。98年の『HELL』『CONFUSED』でミックスを担当したのが
ジムとジョン・スペンサーの最初の交わりということになるのだろう。
掲載写真は01年にリリースされたスペンサー・ディッキンスン名義の唯一の
アルバム。正し、ここに表記されるディッキンスンはジム・ディッキンスンを指しては
いない。
このアルバムはジムの息子であるコーディーとルーサーの二人のディッキンスンと
ジョン・スペンサーが演奏した盤である。ジムはピアノとオルガンでそれぞれ1曲ずつ
演奏し、アルバムのプロデューサーを務めている。
NYで最先端の時代の空気を反映させたブルーズを演奏するジョンと、ミシシッピーで
親父直伝の力技で叩き上げのライブを続ける二人のディッキンスンの結びつきは
絶妙のブレンドで新世紀のブルーズを提示する。
伝統をなぞるだけなら、従来の数多のブルーズマンと何ら変わらないが、そこに
NWやパンクを通過した音のニュアンスを吹き込むことで、ブルーズを一歩先へ
進めるのがジョン・スペンサーであることが、ここでも確認できる。
ここではテルミンこそ使っていないが、スタイロフォンの音を仕込んだ曲を
聴くことができる。おそらく嬉々としてスタイロフォンを奏でたであろうジョンの
ユーモアのセンスも特筆すべきだろう。
日本盤の帯につけられた叩き文句「ジョンスペ男のブルース一人旅」に偽りなし。
旅先の成果を楽しむべし、である。
さあ、明日は待ちに待ったあのバンドの登場である。