HARRY’S ROCK AND ROLL VILLAGE

お気に入り音楽の紹介と戯言

1972年のT.REX

2012-10-09 23:00:30 | ROCK

近日発売がアナウンスされているT.レックスの72年のアルバム「THE SLIDER」の
40周年記念ボックスの内容がどんなものになるのか、まだわからないのだが
私はもう待ちきれなくて棚から何枚もCDを引っ張り出してしまった。(笑)

掲載写真は94年にリリースされた「RABBIT FIGHTER(THE ALTERNATE
SLIDER)」。文字通りアルバム「THE SLIDER」に収録された全13曲の
オルタネイト・テイクやほとんどデモの段階のバージョンを、アルバムの曲順通りに
並べて収録したもの。頭の中にアルバムの曲順が刷り込まれているので、
その順番通りにいちいち違うテイクが流れてくるのは、実に面白い。

例えばここで聴ける冒頭の『METAL GURU』はサビの繰り返しの後のコーラス・
パートはまだ無いし、次の『MYSTIC LADY』はイントロのギターにかけられた
重いエフェクト処理に驚かされる。『TELEGRAM SAM』はアコースティック・ギターと
単調なパーカッションだけのシンプルな演奏だが、それでもボーカルやギターは
重ねられてあり、これはこれで十分面白いというか、これがマークの本質だといっても
いいくらいである。

  

オルタネイト・シリーズが出た同時期に「UNCHAINED」と銘打たれたスタジオ・セッションや
デモを集めたシリーズも出た。全部で8集まで出たシリーズだったが、最初の2枚は72年の
録音を集めたものであった。このシリーズは輸入盤は全て、T.レックス・ワックス・カンパニーが
リリースした7インチのカンパニー・スリーブを模した色違いのデザインで統一されていたが
何故か国内リリースのこの2枚は独自のジャケットでの発売であった。

ここにも面白いテイクが沢山ある。VOL.1収録の『SUGAR BABY』は『RABBIT FIGHTER』の
元歌。意外に聴き物だったのが単に『JAM』とだけ名付けられた8分程のセッション。
ここでのマークはいつものようにジミ・ヘンドリックスになりきり(笑)、尚且つ遊び心満載の
音響効果を楽しむような音をギターでダビングしている。

VOL.2には地味ながら印象的なアコースティックの小品と、ブルーズを多く聴くことができる。
以前、「ELECTRIC WARRIOR」40周年盤を取り上げた際に、マークのブルーズは良いという
旨のことを書いたが、ここでも意外なマークのブルーズ好きを確認できる。
そして、最も初期の『FAST BLUES(EASY ACTION)』を聴くことができる。

『SOLID GOLD EASY ACTION』はT.レックスが72年12月にリリースした曲で、実は
私はラジオ番組にこの曲をリクエストする葉書を書いたことがある。ああ、蒼い17歳。(笑)
その元歌が『FAST BLUES』なのだが、この曲が進化する様が次の2枚のCDで聴くことが
できる。

   

左が00年に出た「BUMP'N'GRIND」、右が01年に出た「SHADOWHEAD」。
どちらも件の曲は72年8月2日の録音なのだが、全くテイクが違う。右の盤のテイクは途中で
やり直すのだが、やり直した後のテイクのマークのギターの狼藉振りが凄まじく、ここでも
ブルーズマンに直結する演奏が素晴らしい。また、薄くかけられたストリングスが効果的。
これは比較的長尺な演奏なのだが、勢いで押すなら、上手く纏まった左の盤のテイクが
疾走感満点。

この2枚の盤は様々な時代の比較的完成したテイクを収録しているのだが、「THE SLIDER」
収録曲も多く含まれている。また、72年と言えばT.レックスは来日し日本でレコーディングも
している。3曲がレコーディングされたと言われるが最も有名なのが、あの『20th CENTURY
BOY』だろう。翌73年に発売され後に日本の映画「20世紀少年」にも使われた、あの曲である。

左の盤では、6分21秒に及ぶ同曲の完全版を聴くことができる。オフィシャル・シングル盤は
3分半あたりで切られるのだが、その後例によって混沌としたジャム・セッション状態になり、
なし崩しに曲はエンディングを迎える。この曲は東京でレコーディングされ、英国に持ち帰ってから
様々なオーバーダビングやトリートメントが加えられる。バック・コーラスのクレジットに
ブリジット・セント・ジョンの名前を見つけたのだけど、マジ?。恥ずかしながら今まで気にも
留めていませんでした。(笑)

というわけで、心はいつもロックンロール、もとい心は早くもスライダー40周年に飛んでいるの
だけど、既に散々手を変え品を変えリリースされたCDでも十分に楽しめるというわけである。

それでも、40周年だから、期待してしまう自分がいる。
今回は自分の中では「電気の武者」よりハードルが高そうなんだけどね。

コメント
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