HARRY’S ROCK AND ROLL VILLAGE

お気に入り音楽の紹介と戯言

IGGY POP / APRES

2012-10-04 21:16:16 | ROCK

昨年10月の当ブログで、「興味深いカバーを含むと言われる、イギー・ポップの新譜を
待ちたい。」と書いた。それが掲載写真のアルバム「APRES」である。

もっと早くにリリースされると思っていたのだが、ヴァージンEMIと一悶着あったようで
発売が拒否されたために、iTuneでの配信リリースの後に別レーベルからのリリースと
なった。フランス語でのカバーを多く含むことを知っていたので、暫く音沙汰が無かった
こともあって「フランスのみでリリースされたのかな。」等とのんびりと間の抜けたことを
考えていたのだが、こうして今は手元にあるというわけだ。(笑)

かつて81年にトミー・ボイスをプロデューサーに起用した「PARTY」を出して、その名の
通りのポップな音でファンを困惑させたイギーだが、今作の驚きはその比ではないかも
しれない。今までも楽曲単位では、じっくりと歌うバラッドはあったが、ここまで
穏やかで深みのある声を聞かせ、尚且つ収録曲が全てカバーという試みは初めてなのだから。

私も少々困惑した。ストゥージズでの新譜を期待する愚かな自分がいるのも否定できない。
しかしながら、尺が短いせいもあるが何度も聴くうちに馴染んできたから不思議だ。(笑)
多くのイギーのファンには受け入れられない盤であろうが、歌手或いは表現者としての
イギーのもうひとつの側面を無視するのも狭量というものだ。

コール・ポーターやフランク・シナトラ、更にはエディット・ピアフといったところのレコードは
何一つ所持していないが、流石に曲は知っている。所持していないのは理由があるわけだが
それでもこれらの「知っている曲」をイギーが歌うと聴いてしまうわけで、ここは自分が
ロック者であることの恩恵にあずかっていることを素直に認めるしかない。
実にいい曲であり、イギーもそれらの曲の雰囲気を壊すことなく歌っている。

わかりやすく、ニルスンやビートルズのカバーに耳をやるのも良い。昨年の時点で
ビートルズ・カバーは『MICHELLE』と知った時は選曲に疑問を感じたが、アルバムの中に
並べるとこれがピッタリと上手い具合に収まる。

私が反応したのは、勿論ゲンスブール・カバー『LA JAVANAISE』。

 63年にジュリエット・グレコが歌った名曲で
セルジュの盤は同年の4曲入りEP「VILAINE FILLE , MAUVAIS GARCON」に収録。
イギーも短く燃え尽きた恋物語を、情感たっぷりに歌う。

アルバム・タイトルの「APRES」は、私の勝手な想像だが、狂乱のロックの後の音楽、
馬鹿騒ぎの後の寂しさや虚しさを埋める音という意味合いと解釈した。
この先もずっとこういった路線になるのかどうかは、次作のお楽しみということで・・・。

コメント (2)
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