HARRY’S ROCK AND ROLL VILLAGE

お気に入り音楽の紹介と戯言

不乱苦雑派の5枚

2011-01-19 20:35:57 | ROCK

昨年のキャプテン・ビーフハートの訃報を知って以来、ビーフハートがザッパのライブに
参加した75年の音源を集中して聴き続けたのだが、そこから当然のようにザッパの
オフィシャル盤やライブ音源を怒涛のように聴き込む生活になだれ込んでしまった。
多分この1か月の間、毎日少なくとも1枚から2枚の盤を聴いたし、カーステのカセットも
全てザッパ。数年おきに訪れる「マイ・ザッパ・ブーム」なので、それ自体は別段不思議でも
何でもない。

そんな中、絶妙のタイミングでザッパとビーフハートのディスク・ガイドがレコード・コレクターズの
増刊号として発売された。「今更ディスコグラフィー本を買っても・・・」と思いもしたが
今回は全ページがカラーだし、あの中途半端な扱いの「BEAT  THE BOOT」は全アルバムが
しっかり掲載されているし尚且つ、つい先日出たばかりの「HAMMERSMITH ODEON」まで
取り上げられているのは凄いというわけで購入に至った。監修者が一人で全てのレコード評を
書いているので、個人の嗜好が滲み出るのは仕方ないのだが、これからザッパを聴こうという
人は、そこら辺は了解して読んだほうがいいところもある。ネットで検索すれば様々な事がすぐに
わかる世の中だが、こういった紙媒体はいざという時、ネット検索より便利で使い勝手がいいので
手元に置いておくと便利だ。

というわけで今回は私の好きなザッパのアルバムを5枚掲載してみよう。
今回の縛りはザッパが生前にリリースしたアルバムということで。



「SHEIK YERBOUTI」79年
ジャケット、面子、演奏の3拍子揃ったずばり名盤。このアルバムこそ私を奥の細道へと誘った
張本人。このアルバムをフェイバリットに挙げる人は多いだろう。演奏の多くは78年1月のハマースミス公演に
手を加えたものだが、まさか昨年になってハマースミス公演が差し替えやオーバーダブ無しでリリースされるとは・・・。
エイドリアン・ブリューはこの後すぐにボウイ様にスカウトされることになる。
それにしても「アメリカの夢」を体現するのがホモ野郎じゃ困るだろう・・・。(笑)
そんな曲がシングル・カットされるのもザッパらしい。



左「ZOOT ALLURES」76年
「虚飾の魅惑」という邦題が懐かしい。一般的には評価が難しい盤というイメージがあるのはジャケットに写っている
メンバーがアルバムの録音メンバーと大きく違うからか?。日本公演からのライブ・テイク『BLACK NAPKIN』や、
ビーフハートのために用意された曲をザッパが歌う『THE TORTURE NEVERSTOPS』が収録されていることで支持は
それほど低くないと思うが。個人的にはオープニングの『WIND UP WORKIN' IN  A GAS STATION』とラストの
『DISCO BOY』のポップさに惹かれる。前者は発売当時の邦題は『ガソリン・スタンド退社』だったが後に
『ガソリン・スタンドなんて辞めちまいな』に変更される。後者の邦題『恐怖のディスコ・ボーイ』は今もって意味不明。

右「FREAK OUT !」66年
何を今更のデビュー盤。ドゥーワップの要素を感じさせる至って普通の1枚目と、ノイジーで奇天烈な2枚目の
落差にクラクラするが、どっちがいいとか凄いとかいうわけでなく、どちらもザッパ。いくらザッパが生前に承認した
ステレオ・マスターが現行CDと言っても、あのCDは今ひとつのような気がする。06年に出た「THE MOFO
PROJECT」でのオリジナル・ステレオ・ミックスの方が凄みがあるし、それよりも更にモノラルの方が強烈な
ガレージ・バンド然とした音で驚いた。



左「ONE SIZE FITS ALL」75年
邦題は「万物同サイズの法則」。選出盤の5枚を見てザッパに詳しい方は「なんだ、単純なヤツばかりじゃないか。」
と思うだろうが、実にその通りで私はザッパのスケベでポップなところが大好きなのだ。トーンは美しいのだが
長尺のギター・ソロは時にトゥー・マッチだと思っているし。この盤でも『CAN'T AFFORD NO SHOES』の
馬鹿馬鹿しさに笑い、インストの『SOFA NO.1』歌詞付きの『SOFA NO.2』の美しさに惹かれる。
I am your secret smut & lost metal money down your cracksなんて歌詞を美しいメロディーに
忍び込ませることがロックなのだ。

右「OVER-NITE SENSATION」73年
邦題は「興奮の一夜」。最初にCD化された時は次作の「APOSTROPHE」と2IN1だったのが嫌だったのだが
今は収録時間こそ短いものの、ちゃんと単独作品として流通している。このアルバムを好きなのは短い尺の
ポップスが揃ったという理由に加え、あの映画「BABY SNAKES」の影響が大きいことは間違いない。収録曲の
『DINAH-MOE HUMM』と『CAMARILLO BRILLO』が続けてしかもアップ・テンポで演奏されるのは個人的に
この映画のハイライトの一つであるのだから。それにしても『DINAH-MOE HUMM』の歌詞を馬鹿馬鹿しいと
思いながら、「俺もそのシチュエーションなら燃えるぜ」と妄想に浸りながら夜が更けるのであった。(笑)

昔のミュージック・ライフのレコード評を集めた本を20年ちょっと前に読んだことがあるが、アルバムそのものに
ほとんど触れず「難解」だの「変人」だのと書いているだけで、これではレコードの楽しさがちっとも伝わらないと
思ったことを思い出した。「FREAK OUT !」はともかく、ここに挙げた70年代のアルバムを、当時のメディアが
もっとまともに紹介していれば、ちっとはロックの裾野も拡がったと思うのだけどなぁ。

コメント (4)
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