HARRY’S ROCK AND ROLL VILLAGE

お気に入り音楽の紹介と戯言

ハードに生きろ

2011-01-15 21:33:24 | DAY BY DAY

この時期は、センター試験が行われることがニュースになるが、私が学生の頃は共通一次と
いうものがあった。もっとも国立大学を受けても受からないのは明白だったので、私は
共通一次は受けなかったのだが。

いやいや、国立大学どころか、高校三年の夏休み前の三者面談で、担任は面と向かって
こう言ったのだ。「どこの大学も受かりませんよ。ここに3つほど希望大学を書いているが
もし、この中の一つでも合格したら逆立ちして校庭を周ってもいいくらいだ。」
母親は赤面し終始うつむいているし、当の本人はといえば先日初めてラジオで聴いた
ザ・フーの『ピンボールの魔術師』のメロディーを脳内で反復させてその場をやり過ごそうとしていた。

確かに成績は悪かったが、「どこにも行けないよ」なんて言われるとは思ってなかったし、
それよりも何よりもテレビドラマに出てくる先生のような例えで、「もしも受かったら」と
言われたのが気に入らなかった。元々理数系は得意でなかったので文系の私立に志望校を
絞り、夏休みに入るやいなや勉強を始めた。2学期以降卒業までにある定期試験はあと3回。
「数学2つと物理で3回とも赤点をとっても構うものか、とりあえず志望校の一つに入って
あの野郎を逆立ちで校庭を周らせてやる」と、密かに心に決めたのは言うまでも無い。

だいたい、私は小・中・高の12年間、皆勤なのだ。遅刻も早退も無いのだ。一度、高2の時に校内で
賭け麻雀をやっていた現場を押さえられ謹慎を覚悟したが、一発殴られただけで終わった。
もっともあの時はクラスの男子16人中、ギャラリーを含めて12人が現場にいたので、一度に12人を
謹慎させるのを担任が躊躇したというのが本当のところかもしれない。
とにかく「6・3・3と毎日学校に行って、そのザマかよ。」と言われるのだけは避けたかったのだ。

高校に入ったものの、そのほとんどの時間を勉強以外に費やした(笑)ために、例え3科目と
いっても、ずっとそれなりに勉強してきた人には、なかなか追いつかないもので「正味な話、俺は
大学に行けるのかな。」という感じで自信は全くなかった。それでも、大して裕福な家庭でもないので
無駄に家計を苦しめたくないという思いと、時間を無駄にしたくないという思いがあったのも事実。
ずっと音楽は流しっぱなしだったが、今振り返ってもあれほど熱心に何かをやったというのは
あの時が一番だろう。

この時期は試験絡みのニュースを見ていろいろと思う事がある。
非道い物言いだが、例えそれがどんなアクシデントだったにしろ試験を受けられなかったというのは
そういう運命なのかもしれない、とか。それは私の人生に置き換えてもそうだろう。同じようなレベルの人間が
沢山いれば、そこで競争が生まれ様々な形で淘汰が起こる。自分の意思が介在しない場面で
勝負がついたとしても、それは私がそこには不要な人間だったということかもしれないし。
実際、東京に受験に行った時にはアクシデントに見舞われ、試験を受けることができなかった。
まあ、そこが受かるなら初めから苦労はしてないのだが。(笑)
積み重ねたことが全て報われるという保証がないのが人生というものだ。

数学や物理が苦手だったが、「何でこんなことをやらなければいけないのか。」と思ったことはなかった。
普通に生活するには、特に何の役に立つのかわからない公式や数式の数々を眺め、文字通りそれは
ながめるだけで頭には入らなかったのだが、「ここで様々な解き方や考え方を組みあわせて問題を
解くということは、実生活で難題に遭遇した時に複雑に頭を働かせなければいけない、ということと
同義なんだろうな。」と、自分を納得させていただけの話だが、「それじゃあ身を入れて勉強しろ」と
言われかねないので、誰にも言わずに黙々と赤点を積み上げていったのだけど。(笑)

キンクスが75年に発表したアルバム「SCHOOLBOYS IN DISGRACE(不良少年のメロディー~
愛の鞭への傾向と対策)」の中に『THE HARD WAY(ハードに生きろ)』という曲がある。
当時のライブでは校長先生のマスクを被ったレイ・デイヴィスが歌うこの曲には、こんな一節がある。

When you're only fit to sweep the streets, your intellect is such
That it requires a killer's touch.
もし、道路を掃除することしかできないのなら、お前たちに要求される知識はつまらないもので終わってしまうぞ。

確かにその通りだろう。
このレコードを初めて聴いたのは20歳の時で、もし16歳くらいの時に出会っていれば
もう少し真面目に勉強したかもしれないな、なんて都合よく振りかえってみたり。(笑)

大学にはなんとか合格した。不思議なことに合格すると担任に「あの時の軽口を覚えているか。」と
問う気は無くなっていた。予定通り、高校生活最後の試験の数学は赤点で、試験問題と模範解答を
書き写したレポートを提出することで大団円に終わった。(笑)
終わりのない計算法の代わりに、自分が何者なのかを教えてくれる先生に出会わなかったことを
残念だったとは思わないさ。
まあ、そんなものはロックを聴きだしてから、勝手にわかってしまったことだけど。(笑)

コメント (6)
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