劇団四季で観たアンドリュー・ロイドウェバー版の『オペラ座の怪人』にしばらくハマってしまった私は何回も繰り返し観た。娘の小学校の開校記念日にリハーサル見学会があったのでディズニーランドには行かずに母娘で『オペラ座の怪人』と見学会に行ったほどハマっていた。やはりアンドリュー・ロイドウェバーの音楽が魔力を持っていた。その映画化である。前評判では歌が今ひとつという話をきいていたが、まあそれならそれでいいだろうと思って観に行った。
冒頭は1919年。火事で廃墟になったオペラ座で華やかだった頃のオペラ座ゆかりの品々がオークションにかけられているところが白黒画面でスタート。マダムジリーとラウルが競りに参加しているが、ラウルの老けメイクが見事。ラウルはペルシャ服の猿の人形がついた手回しオルガンを競り落とし、クリスチーヌとの思い出にふける。
次に競りにかかった落下事件で有名なシャンデリアが点灯し、そこから一気に1870年に49年間のフラッシュバック。
有名なオーバーチュアの音楽の中でシャンデリアが天井に上がっていき、舞台のガス灯が次々とつけられ、白黒だったスクリーンは一気に色づく。埃がとび、黄金色の裸婦たちが輝きだす。灰色の劇場が赤いベルベットの椅子席が鮮やかに浮かび上がり、そこで舞台稽古が始まる前の踊り子や裏方がざわざわとそれぞれの役目のために忙しく立ち働く様子が生き生きといっぱいに広がる。なんと見事な転換だろう。身体中がゾクゾクした。このシーンを見るためだけにもう一度観にきたいと思ったほどだ。
踊り子の中のクリスチーヌは新しい支配人たちとともに現れた新しいオペラ座のパトロンが幼馴染のラウルだとすぐに気づく。ここは舞台とまず違う。歌姫カルロッタは舞台稽古をファントムが妨害したことで降板。代役にマダムジリーが推すクリスチーヌが試される。その可憐な歌声の中で本番へとシーンはすすんでいくが、本番の衣装が友人が教えてくれた通りにまるで「エリザベート」なのに笑いそうになった。完璧にミュージカルオタクの受けをねらっている。クリスチーヌのエミリー・ロッサムはわざとオペラ風に歌っていないのだろうか。素人っぽい歌い方だ。確かに声はきれいだが、本格的にオペラを歌うというにはちょっと程遠いと思ってしまった。
しかしながら、彼女の目は十分魅力的だ。あの大きな憂いを秘めた目は映画のアップにふさわしい。当初決まりかけていた女優を変更させて役を得た彼女は16歳だったということをあとからパンフで読んで驚いた。ロイドウェバーは若さにこだわったのだろう。
その姿にやっとラウルは幼馴染のクリスチーヌと気づいて、楽屋での再開。ラウルのパトリック・ウィルソンは長いブロンドを結んだりなびかせたり、また舞台のラウルより行動的でカッコいい。ファントムに心酔していた彼女がぐらっと傾くのがとても納得できるくらい魅力的。
そこを嫉妬したファントムが彼女を地下に連れて行ってしまう。私は天使の声と評判になっていても子どものソプラノは満足できない方なのでロッサムの声ではやはり満足はできないが、このふたりの歌声は、合格。大人の男性の声で情感も十分のっていてきかせてくれる。
ファントムのジェラルド・バトラーもマスクに隠れない方の半分の顔でも十分魅力的。舞台では描かれなかったファントムが何故オペラ座の地下に住み着くようになったかが映画では描かれた。原作ではサーカス一座のようなものが来てそこから見世物にされていた子どもが逃げ出したまでは書かれていたような記憶がある。マダム・ジリーが若い頃にそれを手助けしたというくだりは初見。まあ、それで初めてマダムがファントムに協力的だし、彼を天才だと誉めるのが納得できるのだけど。
舞台ではファントムとクリスチーヌの関係があまりはっきりしていなくて、イライラしていた。ファザコンのクリスチーヌが亡き父が今際の際に約束した「音楽の天使」が本当にきてくれて憧れているという感じだった。しかしながら、今回やっとすっきりした。最後の劇中のオペラ『勝利のドンファン』でテノールを殺してマスクをつけて代役をつとめるファントムとヒロインのクリスチーヌのデュエット「ポイント・オブ・ノー・リターン」に色濃く漂う官能!!ラウルが観ていて嫉妬するほどの場面。映画ではファントムの方により強く魅かれているクリスチーヌの姿がくっきり。
最後にラウルを捕らえたファントムが彼を救いたいなら私と結婚しろと迫るシーン。舞台の歌詞ではなんか、納得がいかなかった場面だ。もちろん、日本語の制約があって本来の内容の半分以下になってはいると思うがそれにしてもすっきりしていなかった。今回はクリスチーヌがはっきりと「あなたに惹かれていた」と言いながら激しい口付けをするのである。そこでファントムは初めて自分の想いが通じていたことを知り、それなのにクリスチーヌに憎まれるような行為を続けたことを悔いる。だからその後はすんなりと地下の秘密をしゃべらないことを条件に、二人を地上に帰すのである。そして鏡を割って秘密の通路を開いて姿を消すのだ。
そして、舞台にはなかった最後の1919年のシーン。冒頭で競り落としたオルゴールを良き妻良き母と刻んだクリスチーヌの墓に備えるラウル。そこにはいつもファントムがクリスチーヌに渡していた黒いリボンつきの紅薔薇の花1本。そしてそこには結婚を強要した時にクリスチーヌの指にはめ、返されてしまった指輪が添えられていたのだった。彼女の死後もふたりの男は愛し続けるのだ。このラストのモノクロシーンに赤い薔薇、黒いリボン、輝く指輪は色がくっきり。
何回も効果的にモノクロシーンの現在シーンとカラーの49年前へのフラッシュバックが繰り返されるこの演出は、ひとりの女をめぐるふたりの男の愛の物語にぐいぐいと引き込む力がある。
また、しばらくしたらもう一度観にいくことを決意してしまっていた。
写真は映画『オペラ座の怪人』のウェブサイトから。
冒頭は1919年。火事で廃墟になったオペラ座で華やかだった頃のオペラ座ゆかりの品々がオークションにかけられているところが白黒画面でスタート。マダムジリーとラウルが競りに参加しているが、ラウルの老けメイクが見事。ラウルはペルシャ服の猿の人形がついた手回しオルガンを競り落とし、クリスチーヌとの思い出にふける。
次に競りにかかった落下事件で有名なシャンデリアが点灯し、そこから一気に1870年に49年間のフラッシュバック。
有名なオーバーチュアの音楽の中でシャンデリアが天井に上がっていき、舞台のガス灯が次々とつけられ、白黒だったスクリーンは一気に色づく。埃がとび、黄金色の裸婦たちが輝きだす。灰色の劇場が赤いベルベットの椅子席が鮮やかに浮かび上がり、そこで舞台稽古が始まる前の踊り子や裏方がざわざわとそれぞれの役目のために忙しく立ち働く様子が生き生きといっぱいに広がる。なんと見事な転換だろう。身体中がゾクゾクした。このシーンを見るためだけにもう一度観にきたいと思ったほどだ。
踊り子の中のクリスチーヌは新しい支配人たちとともに現れた新しいオペラ座のパトロンが幼馴染のラウルだとすぐに気づく。ここは舞台とまず違う。歌姫カルロッタは舞台稽古をファントムが妨害したことで降板。代役にマダムジリーが推すクリスチーヌが試される。その可憐な歌声の中で本番へとシーンはすすんでいくが、本番の衣装が友人が教えてくれた通りにまるで「エリザベート」なのに笑いそうになった。完璧にミュージカルオタクの受けをねらっている。クリスチーヌのエミリー・ロッサムはわざとオペラ風に歌っていないのだろうか。素人っぽい歌い方だ。確かに声はきれいだが、本格的にオペラを歌うというにはちょっと程遠いと思ってしまった。
しかしながら、彼女の目は十分魅力的だ。あの大きな憂いを秘めた目は映画のアップにふさわしい。当初決まりかけていた女優を変更させて役を得た彼女は16歳だったということをあとからパンフで読んで驚いた。ロイドウェバーは若さにこだわったのだろう。
その姿にやっとラウルは幼馴染のクリスチーヌと気づいて、楽屋での再開。ラウルのパトリック・ウィルソンは長いブロンドを結んだりなびかせたり、また舞台のラウルより行動的でカッコいい。ファントムに心酔していた彼女がぐらっと傾くのがとても納得できるくらい魅力的。
そこを嫉妬したファントムが彼女を地下に連れて行ってしまう。私は天使の声と評判になっていても子どものソプラノは満足できない方なのでロッサムの声ではやはり満足はできないが、このふたりの歌声は、合格。大人の男性の声で情感も十分のっていてきかせてくれる。
ファントムのジェラルド・バトラーもマスクに隠れない方の半分の顔でも十分魅力的。舞台では描かれなかったファントムが何故オペラ座の地下に住み着くようになったかが映画では描かれた。原作ではサーカス一座のようなものが来てそこから見世物にされていた子どもが逃げ出したまでは書かれていたような記憶がある。マダム・ジリーが若い頃にそれを手助けしたというくだりは初見。まあ、それで初めてマダムがファントムに協力的だし、彼を天才だと誉めるのが納得できるのだけど。
舞台ではファントムとクリスチーヌの関係があまりはっきりしていなくて、イライラしていた。ファザコンのクリスチーヌが亡き父が今際の際に約束した「音楽の天使」が本当にきてくれて憧れているという感じだった。しかしながら、今回やっとすっきりした。最後の劇中のオペラ『勝利のドンファン』でテノールを殺してマスクをつけて代役をつとめるファントムとヒロインのクリスチーヌのデュエット「ポイント・オブ・ノー・リターン」に色濃く漂う官能!!ラウルが観ていて嫉妬するほどの場面。映画ではファントムの方により強く魅かれているクリスチーヌの姿がくっきり。
最後にラウルを捕らえたファントムが彼を救いたいなら私と結婚しろと迫るシーン。舞台の歌詞ではなんか、納得がいかなかった場面だ。もちろん、日本語の制約があって本来の内容の半分以下になってはいると思うがそれにしてもすっきりしていなかった。今回はクリスチーヌがはっきりと「あなたに惹かれていた」と言いながら激しい口付けをするのである。そこでファントムは初めて自分の想いが通じていたことを知り、それなのにクリスチーヌに憎まれるような行為を続けたことを悔いる。だからその後はすんなりと地下の秘密をしゃべらないことを条件に、二人を地上に帰すのである。そして鏡を割って秘密の通路を開いて姿を消すのだ。
そして、舞台にはなかった最後の1919年のシーン。冒頭で競り落としたオルゴールを良き妻良き母と刻んだクリスチーヌの墓に備えるラウル。そこにはいつもファントムがクリスチーヌに渡していた黒いリボンつきの紅薔薇の花1本。そしてそこには結婚を強要した時にクリスチーヌの指にはめ、返されてしまった指輪が添えられていたのだった。彼女の死後もふたりの男は愛し続けるのだ。このラストのモノクロシーンに赤い薔薇、黒いリボン、輝く指輪は色がくっきり。
何回も効果的にモノクロシーンの現在シーンとカラーの49年前へのフラッシュバックが繰り返されるこの演出は、ひとりの女をめぐるふたりの男の愛の物語にぐいぐいと引き込む力がある。
また、しばらくしたらもう一度観にいくことを決意してしまっていた。
写真は映画『オペラ座の怪人』のウェブサイトから。
モノクロシーンの意味するもの・・。
愛の形、音楽への拘りなどいろんな意味で
深いと感じました。
私は先月、四季の舞台を観ての映画だったので、衣装や装置が豪華に感じました。
シャンデリア、いいですねー。(笑)
もちろん、全編通して音楽は良いですし、役者さん格好良いですし、言う事なしでした!
みなさんのように、色々考えて見るまでには、行かず、ただただ感動して帰って来ました。
機会が有れば、もう1回行きたいです!
オペラ座の怪人映画版レポート、
ありがとうございました。
すごく詳しくて、また映画の感動が
よみがえってきました。
ファントムは本当にセクシーですよね。
最後までクリスティーヌの心を揺らす存在として
ピカイチでした。
私がとても好きなのは、
雪のオペラ座の屋上で、ラウルとクリスティーヌが歌う、“All I ask of you”
そしてそれにじっと悲しく怒りに燃えながら
聴いているファントムの姿です。
観たのはシネコンなのですが、
今度はもっと、「劇場!」という感じの
するところでみてみたいです。
またおじゃまさせていただきます。
これからもよろしくお願いします。
ゆき様
コメントありがとうございます。繰り返して観ても味わいが深まる作品だと思います。また観たらコメントくださいませ。
サントラCDを買うことができました!
なかなか映画の臨場感を伝える、いいCDに
なっているのではないかと思います。
またあの感動がよみがえって、ゴキゲンになっています(^^)
我が家の近く=隣の駅のところに昨秋できたショッピングセンターにシネコンが併置されました。そこで『ハウル』を一緒に観た母親が『オペラ座の怪人』も観たいと言っております。彼女はシルバーだからいつでも1000円だからそれを活かしてということもあるけれど、けっこうシネコン新しいので気持ちがよくて味をしめたみたい(笑)。また行こうとうるさいんです。
かつらぎ様
DVDが出るまで我慢の子をしているんですけど、そんなにいいですか。
『オペラ座の怪人』は市村版、山口版、今井版を持っているので、次のCDはロンドンキャスト版がもしサラ・ブライトマンがクリスチーヌなら買いたいと思っています。
北西のキティ様
お名前をクリックしたのですが、ページが見つかりませんと出てしまいます。貴女様のブログにとんでいけません。よろしければトラックバックなどつけてくださいませ。