ぴか の観劇(芸術鑑賞)日記

宝塚から始まった観劇人生。ミュージカル、ストレートプレイ、歌舞伎、映画やTVドラマ等も書きます。

06/12/16 文楽『義経千本桜』前編「堀川御所の段」

2007-01-07 18:33:02 | 観劇

国立劇場開場40周年記念の文楽公演の今回は、初段「堀川御所の段」と二段目の「伏見稲荷の段」と「渡海屋・大物浦の段」の通し上演。歌舞伎でも観たことがないので意気込んで観にいく。
「義経千本桜」の作品概要はウィキペディア情報をご紹介→こちら
2回にわけて書くことにする。
【堀川御所の段】
堀川御所にいる義経ところへ鎌倉からの使いとして川越太郎重頼が到着。頼朝の不審三ヶ条(義経が届けた平家の武将の首が偽首だったこと、平家の姫である卿の君を娶ったこと、法皇より初音の鼓を賜ったこと)を問う。卿の君は実は川越太郎の娘で平家の養女となって輿入れしていた。義経がそのことの申し開きをしないことを川越につめよると川越は自害を図る。父と夫の窮地を救うため卿の君は自害。川越が介錯して首を鎌倉に届けることにして頼朝との和睦を図るための犠牲となった。
ところが鎌倉からの軍勢により屋敷は包囲され、弁慶は血気にはやって討って出る。義経はそれを諌めるように静に言いつけるが、実は静を置いていくための方便だった。弁慶は敵の大将のひとり海野を討ち取り、残る土佐坊正尊も生け捕りにしてくる。ところが義経一行は先に館から脱出してしまっており、弁慶は土佐坊の首をねじ切って後を追う。

2005年の大河ドラマでも川越太郎の娘が鎌倉から正妻として送り込まれていたが、浄瑠璃ではややこしいことになっていて驚く。史実でも義経の正妻・郷姫は河越重頼の娘。埼玉県内の私立高校教諭の篠綾子さんが書いた『義経と郷姫』小説が角川学芸出版から出されている。埼玉県人としては気になる。
冒頭から妻妾同居で静と卿の君が仲良くしているのにも少々驚く。義経は両手に花状態。この時代には普通なのだろうが、この二人だと少々イメージが湧いていなかったのだった。
弁慶は、この前の「仙洞御所の段」でも義経に叱られていて、その勘気を解いてもらうために静→卿の君→義経ということでとりなしを頼んでいた。赦されて御前に姿を現す弁慶だが、最後には屋敷を包囲されると主人の意向を確かめることもなく戦闘モードに入って飛び出していってしまった。どうもこの物語では弁慶が単純な直情径行男に描かれていて笑ってしまう。憎めないというか愛すべきキャラクターとして人気があったのかもしれない。しかし、首をねじ切って主人の行方の方角を占うなんていうのはちょっと参った。江戸時代にはこういう表現が受けたのかなぁと推測。

この段でカッコいいのは川越太郎だった。上使の装束もシック。義経という男にほれ込んだからこそ娘を嫁がせたのだろうし、主君頼朝との板挟みに苦しむ。前日に観た「恋女房染分手綱」が母親の苦悩で、こちらは父親の苦悩。娘はそれを救うために自害する。
その川越を遣うのは勘十郎。だからよけいにカッコよく感じるのかもしれない(^^ゞメトロ文楽で注目の玉勢が土佐坊正尊の主遣い。こうしてご贔屓が出ると嬉しいというミーハーである。義太夫では奥の呂勢大夫がご贔屓である。

写真は今回の公演の筋書から川越太郎の写真を携帯で撮影。
12月文楽の「社会人のための鑑賞教室」前編の感想はこちら
同後半の「恋女房染分手綱」はこちら
追記
成人の日前後の連休、昨日1/6はひどい雨、今日1/7は嵐のような強風。天気予報通りの荒れた天気となってしまった。今日はせっかく出かけたのに強風で武蔵野線が運転見合せになってしまった。高架で走る路線で風向きの関係で列車横転の危険があるのだろう。2回乗り換えの振替運転となってしまい、往復2時間以上無駄になりそうなのでスゴスゴ帰宅。こうしてブログ三昧ということにした。後半も続けて執筆中。
明日の歌舞伎座昼の部→銀座松坂屋「石山寺と紫式部展」→お茶会のお天気が回復することを祈りたい。

後編「伏見稲荷の段」「渡海屋・大物浦の段」の感想もアップしました→こちらへ


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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
アップお疲れ様です! (midori)
2007-01-08 11:28:41
せっかくの外出が、天候で中断になってしまったのは
残念なことですが、その代わりキッチリブログアップ
にあてられていて、頭が下がりました。
私は簡易感想で、どうしようかと思ったのですが…。
思い切ってトラバさせていただきます。
(^^;
今年もよろしくお願いします!
(*^^*)
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皆様TB、コメント有難うm(_ _)m (ぴかちゅう)
2007-01-09 00:51:48
★「好きなことは止められない♪」のmidoriさま
TBは後編「伏見稲荷の段」「渡海屋・大物浦の段」の記事の方にいただいたのを確認しました。有難うございますm(_ _)m
文楽の4記事連続アップをしたことで12月文楽のふりかえりができてよかったです。midoriさまの感想は着眼点がとっても参考になります。
こちらこそ今年もよろしくお願い申し上げますm(_ _)m
★「大入り!文楽手帖」のツチ子大夫さま
コメントは後編「伏見稲荷の段」「渡海屋・大物浦の段」の記事の方にまとめていただいたのを確認しました。有難うございますm(_ _)m
そちらでお返事コメント申し上げます(^O^)/

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