ぴか の観劇(芸術鑑賞)日記

宝塚から始まった観劇人生。ミュージカル、ストレートプレイ、歌舞伎、映画やTVドラマ等も書きます。

12/03/18 四月通しの仮名手本忠臣蔵関連で三月の九段目感想

2012-05-13 23:37:42 | 観劇

四月花形歌舞伎「通し狂言 仮名手本忠臣蔵」の感想アップに関連して三月大歌舞伎の九段目「山科閑居」の感想も簡単に書いておきたい。忠臣蔵の通し上演の際も九段目ははずされ、見取りでの上演が多いようだ。
2007年顔見世歌舞伎の九段目「山科閑居」の感想はこちら
2006年9月の文楽公演第三部の記事はこちら

今回の主な配役は以下の通り。
戸無瀬=藤十郎 小浪=福助 
大星由良之助=菊五郎 お石=時蔵
大星力弥=染五郎 加古川本蔵=幸四郎

藤十郎の戸無瀬は、丸本狂言がやはりいい。義太夫の糸に乗った台詞と動きに見入ってしまう。福助の小浪は初役だとのこと。芝翫もお石が持ち役で2007年の顔見世で戸無瀬初役ということだったのでお家の役との関係というのもあるのだろうなと推測。藤十郎の戸無瀬の胸を借りるような殊勝で上品な可愛らしさの娘になっていて予想以上によかった。

時蔵のお石が藤十郎の戸無瀬と対峙する場面で熱い芝居を見せてくれた。時蔵の芝居はあまり熱くならないのが常だが、藤十郎の気組みに負けないよういつもよりも気合が入っている。東京では藤十郎の戸無瀬を観ることはなかなかできないが、その戸無瀬と丁々発止と渡り合うお石を時蔵で観ることができたのが嬉しかった。

しかしながら、幸四郎の加古川本蔵の芝居が問題。姿はよいのだが、台詞をしゃべり出すと丸本狂言がぶちこわしになる。歌舞伎の台詞はうまくないと思っていたが、「きゃーるの子はきゃーる(蛙の子は蛙)」という台詞には席からずっこけそうになった。本蔵は大名の家老格の武士であり、絶対にそんなしゃべり方はしないはずだ。21世紀に通用する幸四郎歌舞伎の創造をめざしているようだが、義太夫の台詞をくずし過ぎるのはいかがなものか?!

菊五郎の由良之助は初役ということだったが、藤十郎の戸無瀬に釣り合う立派な出来。染五郎の力弥もニンに合う本役のようで安心して見ていることができた。
三月と四月で「仮名手本忠臣蔵」を通しで観ることができたような感じで、それも面白かったので書いておきたかった次第。