ぴか の観劇(芸術鑑賞)日記

宝塚から始まった観劇人生。ミュージカル、ストレートプレイ、歌舞伎、映画やTVドラマ等も書きます。

07/01/23 歌舞伎座夜の部②福助の「切られお富」

2007-03-16 23:58:57 | 観劇
(^^ゞ
1月歌舞伎座夜の部の感想を玉三郎の雪姫で締めくくりたいので順不同のアップとする(写真も先の記事と入れ替えたm(_ _)m)。
3.処女翫浮名横櫛 切られお富
『与話情浮名横櫛』の河竹黙阿弥による書換え狂言。お富と与三郎の役割が入れ替わっている。
元の「与話情浮名横櫛」のウィキペディア情報はこちら
玉三郎×仁左衛門で観た時の感想をはこちら
あらすじは以下の通り。
赤間屋源左衛門の囲い者のお富は、恋仲の浪人の井筒与三郎との逢瀬がばれてしまう。源左衛門は自分が盗賊だと素性を明かし、子分たちにお富をなぶり殺しにさせる。全身を斬り刻ませたお富を子分のひとり蝙蝠の安蔵が棄てるように言いつかる。ところが安蔵はお富を助けて介抱し、自分の女房としていた。
安蔵と薩峠で茶屋を営むお富のところに、与三郎が偶然現れ、喜びの再会。与三郎が主家の重宝北斗丸を取り戻すための金策に奔走していることを知り、力になることを約束。金策をどのようにしようかと思うところに赤間屋という女郎屋が繁盛していることを知り、源左衛門の店だとあたりをつけて強請に行くことを思いつく。安蔵を相棒にその店に乗り込んで、源左衛門の素性を知っていることをネタについに二百両をせしめる。ふたりが帰った後の赤間屋には盗賊との素性をつかんだ穂積幸十郎の捕り手がおしよせる。
幕切れは安蔵が持っている二百両を与三郎のために奪おうとするお富との斬り結びで「本日はこれきり~」となる。本当はお富が安蔵を殺してしまうらしい。
今回、お富を福助が初役で挑んだ。他の主な配役は以下の通り。
井筒与三郎=橋之助 蝙蝠の安蔵=彌十郎
赤間源左衛門=歌六 赤間女房お滝=高麗蔵
穂積幸十郎=信二郎

亡き宗十郎にすすめられた役をやりたいと福助は張り切っていたらしい。与三郎とのからみは本当に恋する可愛い女でいい。馬のしっぽの髪型で顔にも何本も斬られた傷のある「悪婆」姿の福助は本当に楽しそうにやっている。だが、何か違う気がした。こんなに楽しそうに色気たっぷりにやっていい役なんだろうか。抑え目にしながらも独特の色気がにじんでしまう、くらいの方がいいんじゃないだろうかという気がしてならなかった。この演目は初めてなのだから何ともいえないのではあるが。
歌六の赤間屋も高麗蔵の女房もちょっと硬い感じがした。
彌十郎の蝙蝠安は柄も大きく、瀕死のお富を葛篭にしょって帰って女房にしてしまうという役どころもぴったりだった。橋之助の与三郎も二枚目でお富がメロメロなのも無理からぬと思えた。信二郎の穂積幸十郎も生真面目な感じがよかった。
しかし、斬りあいで終わる演目がお正月の打ち出しというのはいかがなものだろうか。福助にやりたい役をやらせようということで決まった演目なのだろうか。納涼歌舞伎くらいでよかったんじゃないかと思ってしまった。せっかく「金閣寺」でぐっと格調高くなったところをくだかれた気分があった。
しかし宗十郎の切られお富ってどんなだったのだろう。3/3の信二郎丈の芸談を聴く会で宗十郎独特の芸のよさが語られて、ますます観たかったという思いが増してしまった。

写真は歌舞伎座前の祝樽の積み上げに大入額のついたもの。
以下、この公演の別の演目の感想
1/8昼の部①「松竹梅」「喜撰」
1/8昼の部②吉右衛門の「俊寛」
1/8昼の部③幸四郎の「勧進帳」
1/23夜の部①「廓三番叟」「春興鏡獅子」
1/23夜の部③「金閣寺」玉三郎の雪姫