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シューベルトピアノ曲がメインのブログ(のはず)。ピアニスト=佐伯周子 演奏会の紹介や、数々のシューベルト他の演奏会紹介等

シューベルトの「ベートーヴェンソナタ理解」と未完成ソナタの補筆について 2(No.2191)

2013-01-14 22:46:20 | 作曲家・シューベルト(1797-1828

シューベルトがベートーヴェンから学んだ、『ソナタ楽章』の特徴



  1. 主題は2つでも3つでも良い。再現部で「2主題ならば、第2主題の終結時」「3主題ならば、第3主題再現時」に主調に戻って入れば良い


  2. 再現部は、「主題再現順序」も「再現部入りの調性」もこだわらない。第2主題での再現入りは、後期の最後の年の大作=弦楽五重奏曲ハ長調D956第4楽章まで継続している。


  3. 再現部の「第2主題」と「第3主題」再現部は、呈示部の5度下になるのが基本。



 これらのことを、(ハイドン と モーツァルト ではなく)ベートーヴェンからシューベルトは習得した。

多くの楽曲分析本に書かれている「ベートーヴェンのソナタ分析」類の本では、「第1主題から第2主題への経過句」と分析されているフレーズを、シューベルトは「第2主題」として習得し、自分の作曲に適応した


である。
 ピアノソナタで例に取ろう。(弦楽四重奏曲とかだと、読者の皆様も困惑すると思われる。)

 第2番イ長調 と 第3番ハ長調 の共に第1楽章の楽譜を見て頂きたい。

  1. ベートーヴェンピアノソナタ第2番第1楽章第58小節から第83小節までの楽節(5度上のホ短調で開始される)


  2. ベートーヴェンピアノソナタ第3番第1楽章第27小節から第47小節までの楽節(5度上のト短調で開始される)



 これを『シューベルトは第2主題』として習得した。さらに、ワルトシュタインソナタの第2主題のように「3度上」で呈示、も習得した。これが、シューベルトのソナタの骨格を作り上げた。「ハイドン基準」では、ルール違反に感じるガクシャが多い。だが、私高本は、この点こそが「シューベルトのソナタの魅力」と感じる。


 「シューベルトのソナタ楽曲の補筆」をする上で、昨日今日書いた内容は大事である。

「シューベルトピアノソナタ補筆」に於ける「補筆者の癖」



  1. バドゥラ=スコダ → 上記ルールを熟知している。細かな「独自追加」が不要に感じられるのと、「下属調での再現部開始」にこだわる時が多いのだけが難点


  2. ティリモ → 上記ルールについては、バドゥラ=スコダほどは神経は行き届いていない。妙な箇所で転調する補筆が多い。また、旋律線の高さが妙で、「響かない」頻発。「バドゥラ=スコダとは違う」にこだわり過ぎ、と感じる。


  3. バール → ハイドン & モーツァルト の「主調で再現部は通す」での補筆であり、『シューベルトの魅力』を最大限には生かせなかった、と感じる



 バドゥラ=スコダ と ティリモ は、D625第1楽章補筆で、「シューベルト自筆原稿」の1部を無断で(注も無し!)カットしている、ことをここに明記する。


 さらに、7年ぶりに「シューベルトピアノソナタ補筆完成版」を作成して判明したことがある。(7年間で、私高本の猫頭の理解力も大いに向上した。全ては、佐伯周子 の演奏のおかげである。)

コメント (1)
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