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シューベルトピアノ曲がメインのブログ(のはず)。ピアニスト=佐伯周子 演奏会の紹介や、数々のシューベルト他の演奏会紹介等

シューベルトの「初期ピアノソナタの魅力」は誰が語るのか?中編(No.2051)

2012-05-04 18:10:15 | 作曲家・シューベルト(1797-1828
「シューベルトの初期ピアノソナタだけの全集」をリリースして発売したピアニストは1人もいない。私高本がここに断言する。「初期ピアノソナタ」は少なくとも「ピアノソナタ全集」かそれ以上の企画の中で発売される。1種類だけ『初期から後期までの未完成とも受け取れるソナタ集」がバラ3枚発売されたが、別のピアニストの「ソナタ全集の補遺」に思える。整理整頓が悪いので、手持ちCD全部かどうかは不明だが、ゴールデンウィーク期間中でヒマなので、「全集企画」のCDに収められている初期ピアノソナタ全部を聴いて見た。どのピアニストが「初期ピアノの魅力」を語ってくれているだろうか?
 聴いた順に書く。「手前に置いてあったから」なんて理由で先に聴いたのもあるので、特に「お薦めの順」とかにはなっていないし、録音順とかにもなっていない。全部聴くと、GW徹夜で聴き通しても時間的に無理なので、主として D537 と D575 を中心に聴いた。気に入ったピアニストは、他の曲も聴いたよ~ん。

「シューベルト初期ピアノソナタ録音を全部聴いて見ました」大プロジェクト報告記



  1. ケンプ盤 → 「弾き込めていますか?」1968


      ドイツ・グラモフォンが威信を賭けて、「シューベルトピアノソナタ全集 + 主要作品集」を世界初録音したステレオ盤。後期の曲には味わいのある曲もあるのだが、初期ソナタは「???」ってくらい弾き込まれていない。リサイタルで1回も弾いていない曲もある感じ(泣
      ブレンデルが誉めそやしている ケンプ だが、初期ソナタでは「絶妙のペダリング」が全く使われていないのも不思議。後期は使っているんだがなあ。

  2. ブレンデル盤 → 「安全運転で弾きました!」1982&2000


      『シューベルトピアノソナタ復興の祖 = ブレンデル』は、初期ピアノソナタは D537,D575,D664 の3曲だけ録音を残した。しかも1回ぽっきり。私高本は発売と同時に3曲とも購入して聴いたが、唖然とした。「中後期作品と比較して、仕上げがぼやけている」からである。D537第2楽章に D959第4楽章 のロンド主題がある。誰が聴いてもわかる。スタジオ録音だけで4回も D959 は実行している上にライブ録音も何種類かある。
     ・・・が、D537第2楽章はそれは「安全運転で弾きました」と言うだけ。

     D575 は「ウィーンデビューリサイタル」で弾いた「思い出」の曲らしい。69才の時にライブ録音で残した。D537 に比べて18年も経過しているために、さらに「安全運転」である。同時期のライブ録音でも、D959 や D960 は切れがあるのに(涙

  3. 内田光子盤 → 「譜読み間違いが多いが『理想のブレンデル演奏』を弾き込む」1998,2001


      「ブレンデル & ブレンデル亜流のシューベルト」で初期ピアノソナタを聴きたい人へのお薦めの1つが 内田光子。D537,D568,D575,D664 の4曲しか録音していないが、ブレンデル よりも1曲多い。(ブレンデル亜流ピアニストはほとんどがこのパターン!)しかも、きちんと弾き込んだ演奏。「スタインウェイの整音」も極めてブレンデルに近いピアノ(針刺しが多いハンブルク・スタインウェイ!)で弾かれ、情感は「ブレンデル以上」である。内田光子 の「タッチの強靭さ」には注目して欲しい。手放しで絶賛したいところだが、実は(初期ソナタに限らないのだが)『内田光子のシューベルトは、譜読み間違いが他ピアニストに比較して圧倒的に多い』のが、評価が大きく分かれるポイント。「原典楽譜が自筆譜のみで、スケッチも存在しない曲」での譜読み間違いが多いんだよね(泣
     「モーツァルト → シューベルト の順で演奏会も録音も進行したのは、フィリップスの意向」とのインタビューが数回掲載されているが、モーツァルト録音時に比較して「譜読み間違い」がシューベルトは圧倒的に多い。D537第2楽章 は、聴く人が飛び上がるような譜読み間違いがゴロゴロしている(瀑涙
     録音時53才、あぁ「今の私高本よりも1才年上か!」老眼の進行がキツかったんだろうなぁ > 53才の内田光子。もっと若い時に、シューベルトに取り組んで欲しかったばかりである(涙
     尚、手本の無かった D568 の切れは悪いのも少しだけ悲しい。

  4. シフ盤 → 「ベーゼンドルファーで『ブレンデルのシューベルト像』が聴ける」1992-


      アンドラーシュ・シフ は、日本人の世界的ヴァイオリン奏者 = 塩川悠子 と結婚しているためか、日本には「良い情報」のみが伝わっている傾向が極めて強いピアニストである。夫婦仲が良いことは、とても良いのだが「演奏内容」とは、あまり関係無いように私高本は感じる。(・・・なんて、ほざいているので、2回も「離婚でポイッ!」をされたのも私高本の実績なんだが、、、)
      「ブレンデル & ブレンデル亜流のシューベルト」演奏家で「オレが第1人者だ!」と思っていて、それなりに「売れた」ピアニストが シフ である。「企画力抜群」「ブレンデルが初期に弾いていたベーゼンドルファーでシューベルト」などなど、極めて豊かな発想で彩られた演奏が「録音」に残された。「シューベルト:ピアノソナタ全集」とか「ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ の 美しき水車小屋の娘 動画」とか「ペーター・シュライアー との 3大歌曲集」とか。
      どれもが「悪くない」のだが、『お手本が見え透いてしまう』上に、仕上げが悪いのが難点(泣

      「ベーゼンドルファーを弾くブレンデルのシューベルト」聴きたいならば、『ザルツブルク音楽祭のブレンデル』を聴くのが最善。引退直前まで「ザルツブルクだけはベーゼンドルファーで弾く」を通していた。整調 & 整音 も「ブレンデルの思い通り」だったんだろうね。

    ◎「シフのシューベルト演奏の最大の欠点 = 打鍵が弱過ぎる!」

     佐伯周子が「ペトロフ や 小川典子 並みの強靭な打鍵」が無いことは知っている。「シューベルトの世界」や「スメタナの世界」や「リストの世界」は描き尽くして来た、と感じるし、評価されて来た。

    ◎「シフの打鍵 はあまりに弱い!」

     これに尽きる。「引退を考えていたフィッシャー=ディースカウが シフ と『美しき水車小屋の娘』を録画したが、『これで引退したら死んでも死に切れない!』と思い、エッシェンバッハ伴奏で翌年に「撮り直し」が実績、である。
      この「弱々しい打鍵」では、ハイドンもモーツァルトもベートーヴェンも、もちろんシューベルトも「本領」は描き出せないだろう。反論があれば、フィッシャー=ディースカウまでどうぞ(爆


  5. プラーネス盤 → 「弾き込んだブレンデル亜流」1995-2002


      「ブレンデル収録曲 + D568,D625」で「シューベルト偉大なソナタ群」と言う名でCDリリースした プラーネス。室内楽奏者としての活躍は素晴らしいし、ソロでも シャブリエ はこれまでのピアニスト中でもトップクラス。
      ・・・だが、シューベルトは「ブレンデル亜流」になってしまっている。但し、ブレンデルが弾き飛ばした初期作品を「丁寧に弾き込んだ」のが味わい。内田光子 のように「老眼で譜読み間違い」も無いので安心して聴いて欲しい。
     尚、「ブレンデル亜流」は多いぞ。「ブレンデルの弟子」は全員省く。なぜなら「聴けるピアニスト」は イモージェン・クーパー ただ1人、後は全員スカ。よくも「指の廻らないピアニストの卵」ばかり拾って来るモノだ、しかもペダリングが下手揃い。唖然とするばかりだ(爆

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