SCHUBERT : Compendium and full discussion of Composition No.6
シューベルト:作品 大系&詳述 6
第4期(中期後半)1822.10 - 1825.02 『試行錯誤の規模拡大期』 D759 - D832 2年4ヶ月(25才 - 28才)続き
シューベルト第4期作品で最も重要なのは 「美しき水車小屋の娘」作品25 D795 全20曲である。
それまでにも「竪琴弾き」3部作作品12 D478 で連作歌曲 には着手していたが、規模が全く桁違い! 「第4期のシューベルト」は、「大交響曲作曲家」または「大オペラ作曲家」を一直線に目指していたので、文字上の証拠が少ないのだが
専属出版社 = ザウアー&ライデスドルフ社 が遅々として全20曲の内、9曲しか出版していないことの苛立ちの手紙 が遺されている
実は、
シューベルトが「出版の遅延」について愚痴を述べている文章は、「美しき水車小屋の娘」だけ!
なのである。
出版遅延が著しかったシューベルト楽曲一覧
「美しき水車小屋の娘」作品25 D795 第10曲以降
連弾ソナタ第3番ホ短調 作品63 & 作品84 D823 第2楽章以降
即興曲集第1集作品90 第3曲以降
3番目の「即興曲集」に至っては、生前に印刷楽譜を目にすることが出来なかったにも関わらず、愚痴は一切残っていないのである><
「美しき水車小屋の娘」については、ゲオルギアーデス や フィッシャー=ディースカウ に素晴らしい解釈が残されているので興味ある方は是非是非ご覧頂きたい。
「美しき水車小屋の娘」 = シューベルト歌曲の最高傑作 は、『「魔王」と並んで』の注釈付きで私高本も全面同意である。
劇音楽の最高傑作も、「怒涛のオペラ期 = 第3期」ではなく、この第4期に作曲された。「ロザムンデ」D797。第3曲b = アクサのアリア が生前に作曲後すぐに 作品26 として出版された。これはシューベルト劇音楽声楽曲で生前出版された唯一の曲
前号に掲載した「声楽曲を元にした器楽曲」も全てが全て名曲。さらに、
単独リートに関しても、リュッケルト、シューベルティアーデの一員 = コリーン 詩の名曲が次々に産み出のが、シューベルト第4期
である。第2期 の活気を完全に「単独リート」でも取り戻した上に、「美しき水車小屋の娘」が生まれた豊穣の時期である。