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ベトナムからの笑い声「パックマンズショー」@スペース・イサン

2011-06-19 15:41:26 | 演劇レビュー
な、な、な、なんと今回のベトナムは長編!オムニバスじゃない!
#いや、一般的な劇団はそれがフツーな気がするんだけどね。。。

いやー、いつ振りだろう、長編。劇団としては2年ぶりみたいだけど、儂が最後に見たのは「サウナスターズ」だっけか?エライ前のやつ。

今回のお話は学生時代の人形劇サークル仲間が、12年ぶりに集まり、ひょんなことから演劇祭に出る事になる。その悲喜こもごも。

先に言っちゃうと、この劇団の芝居については演技どうこうについての感想は書かない。ん、書けないか?
いやいや、もう、演技どうこういえるレベルじゃないのだ。 えと、上手いとかいうんじゃなくってね。うーん、何?もうキャラクターが立ち過ぎて演技どうこういう事自体がナンセンスなレベルなのではないかと。

4部構成。
各部は、主人公(?)荒木さん扮する「神田」のテンポのいいモノローグ(説明)で始まり、12年前の公演の様子がスクリーンに投影され、そして12年ぶりに集まったメンバーの演技が始まる。そのパターンの繰り返し。

半分はスクリーンだったから、今回役者さん演技する時間は少なくて楽だった?
いや、その代わりに濃かったよなぁ、むしろ大変だったのかも。むむむ。
徳永さん、山方さんが12年前の人形劇出演のみなのがちょっと残念。

そういえばベトナム、以前、人形劇やってなかったっけか?
あの時はソビエトだかパラグアイだかからの笑い声、とかいって<名前全然覚えていない。

さてさて。
大事なのはなんだろう。
思いつくままに挙げると、一つ、神田のモノローグ。
二つ、思わせぶりだけど、さして重要な使われ方をしない仕掛け。
三つ、相変わらずむりくりに突飛な展開。
四つ、シェイクスピアというモチーフ。

ベトナムの一番好きな部分でもあるのだけど、言葉遊びだよなー。ホントにいつもいつも良くできている。
重ねる言葉の芸術的センスが何とも言えん。小気味いい神田のテンションで突っ走りながらも落としながらクスクス笑わせるその言葉尻ったら! まぁ、それ芝居本編にも散見されるけど。
ここらへんは素直にセンスが良い、と思うのだ。そして、出演者のキャラにマッチして非常に効果的なのだ。

今回の一番の仕掛けは部室(?)の中では常に人形を手にはめていなくてはいけない、という設定。
それを逆手にとって人形を嵌めないで喋ってしまうという状況の中で、ベトナムが良く使う笑えない身上の吐露とか。うぬぬぬぬ。もっとこねくり回したネタで使われる設定かとちょっと期待してしまった(汗)
あ、後その場にいない人物が人形を通じて勝手にしゃべりだすという場面も。心霊現象? 人形が勝手にしゃべるという事を隠れ蓑にしての発言とも見えるけど、あえて触れない。みんな一度引っ掛かって「ん!?」って事になるけれども、必要以上にこだわらずにスルー。人形を使うという事でフィルターを通して語られる真実、ツッコミ、問題発言。いや、それは案外良い塩梅のアクセントなのかもだな。

むりくり設定については。。。。ノーコメント
#意味深に聞こえるかもしれないけど、コメントのしようがないだけ

そして、儂的に残念なのは儂にシェークスピアの知識が皆無という事。
各部はシェークスピアの四大悲劇になぞらえて展開していくの。ちょー簡単な(ほんでちょー分かりやすい)両生類さんによる解説はあるが、それだけじゃ足りない何かがありそうな気がしたのだ。もっとシェークスピアの話をモチーフにした何かとかありそうな気配。ぬぬぬぬ。
#でも実は特に何にもないのかもしれない。。。。:-P

最後の4部。スクリーンの後はそれまでとうって変わって役者が人形をはめ、着座したままで無表情なまま会話を続けて物語をなぞる。そして最後の最後には歌で〆。あぁ、この演出は悪くないね。

#かつてベトナムが長編をやっていた時、儂は芝居の最後の収まりが悪いと文句をぶーたれるのが常でやんした

ゆっくり反芻してみると、脚本が(ある意味)洗練されているなぁ、としみじみ思うわけですよ。
ベタで下品だけど、言葉の使い方が巧みでそれを活かす事もできるセンスの良さ。

万人受けしそうにないところだけが残念です。(をい)

ベトナムからの笑い声「パックマンズショー」@スペース・イサンの画像

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