ぱたの関心空間

関心空間と徒然なるままに。

六ケ所村ラプソディー@同志社大学

2011-11-20 15:39:09 | 映画感想
初!同志社大学今出川キャンパス!

学生会館(?)の方は大学時代に何度か入った事があったけど、烏丸通り挟んで東側はお初です。
関係ないですが、同じ東側にある「パパジョンズ」さんのチーズケーキには何度もお世話になっています。
も一つ、関係ないですが、相国寺法堂の蟠龍図が好きです
#本当に関係ないです。すいません。

さて、

行ってきたのは経済学部和田喜彦ゼミ主催によるシンポジウム『原発事故はひとごとちゃうねん!~関西に潜む危険~』という企画。

知ったのが直前だったのでだいぶ躊躇したけれど、鎌仲ひとみ監督の作品、まだ観ていないのは「六ケ所村ラプソディー」だけだったので、えいやっ、と行ってきた。

映画の上映と小若順一さんという方の講演の二本立てでした。


まず映画。

青森下北半島の付け根にある六ケ所村。
原燃のプルトニウム再処理工場があるこの村と近隣で、核施設に反対する人たち、働く人、受け入れる人を取材したドキュメンタリー「六ケ所村ラプソディー」。3.11で起きてしまった東京電力の原発事故以降、一気に有名人になってしまった、東京大学の斑目春樹教授と京都大学の小出裕章助教が揃って出ているのが興味深い。
ただし、鎌仲監督のスタンスでもあるけれど、基本的には反対する立場の人に依拠しています。

だから中心には原燃に対して反対運動を続ける人たち。
全体的に静かなトーンでそこで生活する人にカメラを向けている感じ。BGMには津軽三味線。

そびえ立つ長い煙突。
そもそも日本原燃は長い煙突から排出される放射性物質は、空中で拡散するから環境に影響はない、と主張している。
あれれ?どっかで聞いたことあるようなイイワケだなぁ。。。
海中への廃棄についても数キロ沖合に排水口をつくるのだと。環境に影響が心配されないならなぜ近くで排水しない?
もう端っからおかしな主張だらけですね。

だいたいにして、六ケ所の再処理工場では、1日で原発1基の1年分の放射能を出すのだという。

いやいや、ちょっとまてコラ!
単純に計算してフツーの原発を365個作ったのと同じ環境破壊をするって事じゃないッスか!
#他の要素はとりあえず無視して

すでに稼働し、沿岸の放射能汚染が確認されているイギリスの核再処理施設。
六ケ所村は、その二倍の再処理をしようとしているのに問題ないなんて言えるのか?

核施設が六ケ所村のような都会から遠く離れたところに作られるのは、万が一(もないと主張されるがそれでも万が一)漏洩事故が起きた時、被害を最小に出来るとか、テロなどの攻撃の可能性が低いとか理由があるだろうけど、田舎には国民からの関心が向かいにくいから好きに出来る、ってのもあるんだろうな。と、思ってしまう。東北に愛着のある儂の穿った見方かもしれないが悔しい。

「ミツバチの羽音と地球の回転」「祝の島」の上関祝島でもそうだったが、権力と金の力で潰される反対運動、そして引き裂かれる市井の儂ら。
権力と金の前で、なんのバックも持たない個人の弱さ。
けれどもへこたれずに粘り強く生きる地に根を張った人間の粘り強さ。

漁師を辞めたあと、生活のために原発で働く人も、原燃がある事がビジネスチャンスだと言うクリーニング屋さんや建設会社社長も同じ人間なんだよなー、とやるせない気持ちになる。

原子力安全委員会でお馴染みの班目春樹氏、曰く
 「安心なんかできないですよ。」
 「最後は結局金でしょ。」
シレっと言ってのけるのだ。なんだかしらないけどニヤニヤしながら(>_<)
なんだろう、この、人としての感覚からとても遠いところにいるような感覚は?

それに対して京都大学原子炉実験所の小出裕章助教、曰く
「エネルギーを使う事が豊かだという、その考えが間違ってる」
と。

(言ってる科白の内容じゃなくて感覚が)
どこまでいっても噛み合いそうにない、この不思議な議論は、東京電力の事故以降、儂らの前に隠されることなくどばっとぶちまけられる事となった。その異常さに気付く事が出来たのは、不幸な今年の出来事の数少ない功なのかもしれない。

予告編でも使われていた無農薬のコメを作っていた苫米地さんのセリフ
「中立っていうのは賛成と同じなんだよ」
に胸が痛い。

補足しましょう。
「無関心こそが、最大の賛成(推進力)」
であると。

地に足のついた生活。
それは当たり前のことだ。

ぽっと出てきたお国の巨大プロジェクトで、いきなり経済活動が豊かになるなんて、そんな浮足立ったお金で暮すような生活が真っ当だと言えるわけがないんよね。
それに気付くべきは、そんな捻じれた不健全な価値観を押し付けて知らんぷりしている、儂ら都会で生活する連中なわけだけど、そんな風に考えられる人は少ないのかもしれない。

再処理工場が稼働する、という直前、
「汚染されていない、最後の野菜になるかもしれません!」と言いながら売っている姿を見ながら、こんなん絶対におかしい!絶対に間違っているとつぶやく。
いやいや、実際に作っている農家の皆さんの気持ちにくらべたら。。。。

真っ赤に熟れた、おいしそうなトマトを、これまたおいしそうに食べる子どもたち。
儂らはこれから生まれてくる子どもたちに、こんな喜びに満ちた体験をさせてあげる事は出来なくなるのだろうか?

知ってしまったのに無関心である事はもう罪だ。
だから、多くの人にまず知ってもらいたいよね。


ちょっとの休憩を挟んで、後半は講演。

小若順一さん。

どなた?と思ったら『食べるな、危険!』の著者だった。
食品と暮らしの安全基金(旧称:日本子孫基金)というところの代表さん。
旧称がアヤシイ。。。(^^ゞ

まぁ、お話しされている感じもとてもラフな感じで、見ようによっちゃぁ若干アヤシげではあるのだけど、でもお話自体はかなり興味深いものでした。

決して放射能についての専門家というわけではないので、前半で放射能によって懸念される問題のお話をされてから後半はミネラル分についてのお話へ。
論点がずれるのでは?と思ったけど、「食」の安全と自分たちで意識して防衛するという内容は、同じ地平にある問題意識だ、と思いました。

原子力関係の話では、日本原子力産業会議副会長だった(当然推進派の)故森一久さんが、すでに大型原子炉事故の理論的可能性、と題して国家予算並みの賠償が必要と試算しているのにほとんど触れられていない、

とか。

東電の火力発電のコストが高いのは、天然ガスの調達が国際価格の三倍の値段だから(長期契約で価格交渉せずにそのまま更新してるから)、

とか。

汚染レベルの高い食品は、混ぜることで低くなるので大丈夫という考え方だと、日本人全体の被曝総量は変わらないので、日本人全体でみるという集団遺伝学からすると全然大丈夫じゃない、

とか。

日本でもチェルノブイリ翌年生まれの学年だけは毎年インフルエンザの流行があったり、身体・学力など能力的に差異が認められるという報告がある、

とか。

胎児の時に被曝して起こる「弱有害遺伝子」の問題、

とか。
#孫の世代に障害が発生する、というのの意味がようやくわかりました。<生殖細胞が作られる胎児の時に被曝すると、その胎児の精子や卵子の遺伝子が傷つく為に、その生殖細胞で生まれる(被曝した母親からみると)孫の世代で影響が出るという

莫大な賠償金を今こそ払うべき!円安になって日本経済はむしろ助かる、

とか。
#これは、思わず成程!と思ったが、いや、実際どうよ?

放射性物質は同族ミネラルがきちんと摂取出来ていれば、排出される分が多くなる、

とか。
(この後、ミネラルのお話に流れていく)

震災後いろんな人の話を聞いているけれど、またちょっと違った角度からの話で聞いてよかったなと。
取りあえず、冷凍食品は出来るだけ控えよう。

まだ見ぬ孫たちの為にも。

#でも便利なんだよなー(>_<)<冷凍食品のストック


六ケ所村ラプソディー@同志社大学の画像